現在、塾を取り巻く環境は大きく変化しています。
少子化やニーズの多様化、塾の乱立、IT化、コロナウイルスなど、様々な時代の流れの中で変革期を迎えています。
従来の塾経営手法では通用しなくなりつつあるのです。
- 塾業界の現状を知る
- 必要なものを知る
厳しさを増す塾業界の中で生き残るためには以上の2つが欠かせません。
そして経営の効率化で利益を積み重ねし、さらに良いサービスを提供していくことが求められるでしょう。
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厳しさを増す塾経営と少子化による生徒の減少

過去と現在の塾業界の決定的な違いは対象となる顧客の総数です。
少子化により顧客となる対象が激減していますが、反対に塾業界への新規参入は増加傾向にある点に注目すべきです。
こうした競争の激化により、ご存知の通り塾業界では倒産件数も非常に増えています。
つまり競争を勝ち抜くために全ての塾が戦略の見直しを迫られていると言っても過言ではありません。
2022年の出生数は77万人に
2022年の出生数は77万747人となり、1899年の統計開始以降で最少、初めて80万人を下回りました。前年より4万875人少なく(5.0%減)、7年連続で減少しています。
この数字は団塊の世代と呼ばれる1940年代後半の約1/3、団塊ジュニア世代の1970年代半ばの半数以下です。
誰もが予想しているように、今後はさらに出生数は減少すると予測されています。
これが現在の塾経営が厳しいと言われる理由の1つです。
さらに20年、30年先の人口や出生数は今よりも遥かに低い水準となることでしょう。
つまり今でも厳しいと言われる塾の経営は、今後より厳しさを増していく傾向なのは間違いないのです。
生徒の減少に対して塾同士の競争は激化
母数が減り続ける塾業界ですが、開業する学習塾、教室数は増えています。
学習塾一本で長年経営を続けてきたいわゆる「老舗」グループ以外にも、集団に特化した塾や、他業種からの参入、ITを駆使した新興勢力と多種多様なビジネスモデルでの塾業界参入が相次いでいるのです。
コロナ禍を経てオンライン授業に違和感がなくなり、学校のGIGAスクール構想で学習のデジタル化、個別最適化が進むこともあり、今後の塾業界内での競争は、より激しさを増していくと予想できます。
このような時代では、本物の塾だけが生き残っていくため、より高い戦略性と経営スキルが必要になるのです。
差別化できない小規模塾の倒産が顕著
資本力のある塾や差別化された塾だけが生き残る時代です。
小規模の塾は資金力で劣るため、企業としての体力は高くありません。
大手であれば豊富な資金力で市場動向の変化に耐えることもできるでしょう。
ですが小規模の塾はそうはいきません。市場や顧客ニーズの変化への適応にスピードが求められるのです。
ここでは、集団指導と個別指導に分けて、それぞれの現状をお伝えします。
小規模な集団指導型の塾は厳しい
過去には小規模な集団指導塾でも、その効率的なビジネスモデルで高い利益率を確保できていました。
講師1人に対して30名以上の生徒を同時に指導できたため、効率よく利益を出しやすかったのです。
しかし近年においては生徒数が集まらない、といった慢性的な問題を抱えるケースが増加しています。
集団指導のニーズが個別指導へと流れ、生徒が集まりにくくなっているからです。
経産省「経済構造実態調査」には、2019年から2020年までの、指導形態別の業界動向が公表されています。
それによると、従業員数4人以下の集団指導型の場合、2019年に19,782事業所あったものが、2020年には18,205事業所と、わずか一年で8%減少しています。
一方、従業員数4人以下の個別指導型の場合、2019年の10,776事業所から2020年に10,913事業所へと、1.3%増加しています。個別指導型の塾は、小規模であっても着実に成長している傾向が伺えます。
これからの学習塾業界は、保護者ニーズの多様化、ICTの発達、個別指導型の増加により、集団指導型を取り巻く環境はさらに厳しくなると予想されます。
今後の見通しが暗いと感じる場合は、事業モデルそのものの変革が求められているのかもしれません。
小規模でも個別指導型は強い
小規模でも個別指導型のニーズは今後も高まっていくものと思われます。
その理由の一つは「ニーズの多様化」です。
まず大学入試が多様化しています。
これまでの学習塾業界で主流だった、科目の点数で合否を決める一般入試は、今や入試制度の半数に過ぎません。残りの半数は、小論文や内申点、人間力のアピールといった学力以外の要素で合否が決まる時代です。
また、学校が進めているGIGAスクール構想の本質は「個別最適化」にあります。生徒の学習ログや学習習慣を分析しながら、生徒一人ひとりに合った学習指導ができるよう、国を挙げての取り組みが始まっています。
学校が個別最適化に取り組むようになると、一つの科目でも「これとこれはわかっているけど、これがわからない」と言った苦手分野の明確化がシステム的に起こります。学校がAIデジタル教材を採用し始めたのが良い例です。
生徒それぞれが違う高校や大学を目指し、一般入試の生徒もいれば総合型選抜の子もいる。わからないところや内容の理解度も科目や単元によって違えば、共働き家庭の増加によって保護者ニーズも多様化する現代では、学習塾も個別に対応できることがより一層求められるでしょう。
これからの塾の経営者に求められるのは「経営者スキル」

経営者と塾講師と一番の違いは、指導スキルではなく経営者スキルが求められること。
仮に大手で教室長やエリア管轄を担当した経験があっても、経営者に必要なスキルは全く異なります。
講師として力はあっても、それだけでは経営がうまくいかないケースは多いのです。
教え方がうまいだけでは通用しない
講師スキルとは、説明や雰囲気づくりのうまさ、コミュニケーション能力の高さ、豊富な知識です。
最低限の項目をクリアしていれば、立派な塾講師と言えるのではないでしょうか。
しかしこれらは最低限のレベルであって、塾経営全体からすれば一部分に過ぎません。
創業時は、圧倒的な指導力で自信があったからこそ、独立して開業ができると考えたはずです。
ですが経営者に求められるスキルは、一講師として必要なスキルとは全く異なります。
- 生徒を集める(結果を出す)力
- 現状を把握し適切な対処をする力
- 市場の動向を察知し先手を打つ力
- 未来を予測する力
- 資金繰り
- 企画、発想など新しいアイデアを無から生み出す
- 教室、講師管理
- 人脈を築く
このように経営者は、専門家ではなくゼネラリストとしてのスキルが必要です。
特に国の想定をはるかに上回るスピードで進む少子化や講師人材不足、家計の悪化等、塾を取り巻く経営環境が厳しい中、生徒が減っても利益を出し続ける筋肉体質の経営が求められています。
今まで以上に効率経営が求められる時代です。
つまり教え方がうまいだけでは、経営は成り立たないという点を考えなければなりません。
現時点で足りないと思うスキルがあるのであれば、勉強して学ぶか任せられる人材や外部の協力企業を探すべきです。
経営者にはゼネラリストとしての能力の他、足りない経営資源を外部から探して獲得するスキルまでが求められます。
マーケティングや資金繰りの知識は必須に
経営に携わる者として、マーケティングや資金繰りは必須の知識です。
コンサルタントに任せてしまうと、それなりの費用がかかります。
開業したばかりの小さな塾では、コンサルタントを雇う余裕はありません。
ですから、経営者自らが自らの企業を導いていかなければならないのです。
マーケティングに関しては、塾業界に長く勤められている方は、少し慣れていると感じるかもしれません。
しかし一教室の運営と、企業の運営では天地ほどの差があります。
感覚だけでなく、客観的なデータに基づいた分析を行わないと、偶然施策が当たって生徒が瞬間的に集まることはあっても、継続的に安定した募集を勝ち取れないでしょう。
また、資金繰りは非常に重要であり、どのようにして資金を調達するのか、効率的に運用するのかまで考えなければなりません。黒字でもキャッシュフローが悪化すれば倒産します。
学習塾は、中3生や高3生が卒業した後、5月ぐらいまでが一番資金繰りが厳しくなります。
資金はなくなってからでは間に合わないため、開業する前からしっかりと手段を考えておく必要あります。
もちろん開業後も学び続ける必要があるでしょう。
集客の強化と効率化で厳しい塾経営を乗り切る

厳しい塾業界の中で生き残るためには集客と経営の効率化が必須。
特に開業直後はほとんどの活動時間を集客に当てなければなりません。
また順調であるように感じても、集客活動は常に続けなければなりません。
さらに指導と集客活動を両立するためには効率的な経営も不可欠。
あれもこれもと手を出していてはリソースが分散して身動きが取れなくなってしまいます。
集客にはとにかく力を入れる
開業当初はとにかく集客がメインです。
質の高い授業をしていれば、生徒が自然に集まるという時代は終わりました。
きちんと戦略を練り、集客活動を最重要事項として力を入れるべきです。
中には「営業したくて開業したわけじゃない」と感じている方もいるかもしれませんが、当然この悩みは全ての塾が感じていること。
当たり前ではありますが、生徒がいるからこそ収益が確保でき、質の高い指導を継続できるのです。
校門配布やチラシ配りといった、外部への集客だけが集客活動ではありません。塾業界の一番の集客ルートは「口コミ」ですから、既に入塾した生徒の成績向上と保護者満足度向上が最優先です。
ある塾経営者は、「まずい料理を出すレストランが宣伝費に金をかけるのは、悪評を振り撒くようなものだ」と言っていました。
他社と差別化し、特定の市場で生徒が生徒を呼ぶ好循環が生まれるまでは手を抜かずに集客へ力を入れてください。
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塾専用システムやRPAの活用で徹底的な効率化を
経営の効率化を図る目的は人的・財務的リソースを確保するためです
開業して間もないころは、講師を集めるのも難しく人的資源が足りない日々が続くかもしれません。
経営を考えながら現場での授業をこなさなければならず、常にリソースが足りない状態だと思います。
こうした問題を解決するために、学費の引落しや教室運営の業務を補ってくれる塾専用システムやRPAの活用を検討するべきです。
煩雑な日常業務を簡素化と自動化することで、リソースが生まれるのです。
特に小規模な塾ほどこうしたツールの活用を怠る傾向があるため、ここに力を入れるだけでも競争に勝てる可能性も上がります。
1人ですべて抱えるよりも、自動化できる業務は自動化し、人がやらなければならない業務に集中する。
これからの時代は自分がいなくても組織がまわる「仕組み化」ができる経営者が生き残る時代なのです。
まとめ

生徒数の減少に、塾の乱立、ITの業界参入と塾業界を取り巻く環境は非常に厳しさを増しています。
しかし塾の必要性やニーズは、昔よりも高まっていると言えるのではないでしょうか。
ただし勝ち負けがはっきりと分かれているのが、今の塾業界の特徴です。
この厳しい時代を生き抜いていくためには、経営者は一講師としての立ち位置にとどまっていてはいけません。
経営者としてのスキルを付けるのはもちろん、集客に力を入れ、結果にこだわりましょう。
そして、現場に特化するために、システムや機械の力を上手に活用し、時間を生み出す工夫も必要です。
独立するまでが勝負ではありません。独立してからが本当の勝負の始まりなのです。
理想の教育を実践し、厳しい塾業界を生き抜いていくためにも、ぜひ、生き残る塾の条件を常に考え、現場に経営に全力で臨んでください。

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