生徒の成績を上げ、志望校に合格させることが塾の使命です。
その使命の達成のため、職場の環境を良くすることは経営者の課題です。
業界内で共通の問題である離職率に加え、働き方改革を進めるうえでも、業務管理の効率化は不可欠なのではないでしょうか。
通常の業務に加え、保護者や生徒からの要望の多様化から、職員にかかる負担は高まっているといえます。
その上で利益まで出さなければならないため、今後の見通しを不安視される経営者の方は多いでしょう。
そして今、急速に進んでいるのがシステム化・IT化です。
労働生産性の低さが指摘される日本国内の全ての企業において、国外の企業との根本的な違いは「システム化・IT化の普及度」だと言われています。
人がやらなくても良い業務は積極的に外注化やシステム化し、コア業務へ集中できる環境を作ることが今後の競争に生き残るための最大のポイントです。
そこで今回は、業務効率を進める上で欠かせない塾管理・経営システムのポイントとメリット、デメリットをまとめました。
IT分野を取り入れてシステムを充実させることで、安定的な経営が可能となります。
ぜひ参考にしてください。
\ビットキャンパスの詳細はこちら/

塾管理・経営システムの機能①保護者・会社内のコミュニケーション

多くの塾システムでは、保護者とのコミュニケーションツールとして、入退室管理・指導報告書作成・クレーム対応ができます。
教室の運営において、保護者とのコミュニケーションは欠かせないものです。
保護者とのコミュニケーションが欠落していると「テストで成績が下がった、本人のやる気が見られない」といったわずかな理由でかんたんに失客に繋がります。
日頃から保護者に安心感を与えられる体制づくりは、塾が高められる付加価値の一つです。
また会社内のコミュニケーションツールとしては、業務日報・指導内容の共有・教室運営方針の共有などが挙げられます。
「生徒個々にどういった指導をしているのか」「教室運営の方針に沿っているか」「業務日報」など現場の講師からの報告や共有事項は多いものです。
一つひとつの仕事はさほど大きなものではありませんが、塵も積もれば山となるもの。
これらを一括で管理、運営できるメリットは大きいです。
塾管理・経営システムの機能②各種業務管理機能
業務の進捗状況管理、各種作成物の簡素化、カリキュラム作成等の通常業務もシステムで管理できます。
日々の社員の業務負荷軽減も欠かせません。
教室単位で同じような業務があったとして、生徒数の多い教室と少ない教室とでは業務量の差は大きいです。
集団指導であれば、販促物作成・掲示・成績管理・カリキュラム作成などでしょうか。
個別指導であれば、座席や学生講師への指示・管理などですね。
このように現場の講師はさまざまな業務をこなしており、経営者が思っている以上に負担を抱えている場合もあります。
特に夏からは夏期講習・受験講座・冬期講習・高校入試・一次募集と立て続けにイベントが重なるため、職員の負担は絶え間なく継続します。
そのため各教室の状況に合わせて、特に負担の高い教室や部署の負荷軽減を図りましょう。
職員が健康で元気にいられることは、生徒や保護者からの評価を得るためには不可欠です。
塾管理・経営システムの機能③請求・集金管理機能
システム化により、各種請求や集金管理の効率化も可能です。
月謝管理・引き落とし・未収金追跡・短期講習申し込み管理・教材販売管理・入塾受付から、入金も教室単位で管理している塾が多いのではないでしょうか。
締日が近づいてくると、手作業で教室長が一つひとつチェック。
特にイレギュラーな学費が発生する場合(各期別講習・新年度スタート時・新入塾など)は教室長の負担が大きくなります。
また教室長に任せておらず経理専門の事務員を雇っている場合でも、最終的に現場責任者である教室長のチェックは欠かせないため業務負荷の根本的な改善にはなりません。
しかしシステムを導入するだけでこれらの管理は大幅に効率化されるでしょう。
システム化により不必要に事務員を雇う必要がなくなるため、コスト面でも有利となるでしょうです。
塾管理・経営システムの機能④CRM機能(顧客関係管理)
塾のシステムの中には顧客の管理機能(CRM)を持つものもあります。
別業界ではあたり前のように取り入れられているCRMは、塾業界の見込み客管理にとても役立ちます。
なぜなら顧客情報を蓄積、管理することで地域に合わせて最適な営業をかけられるためです。
地域性にフィットすることは、その地で塾が反映するためには欠かせない要素。
ですが地域の特性を知るためには、やはり長年その地にとどまっていないとわからないものですよね。
小さな個人経営の塾が長年続けられている理由の1つは、地域性を理解しているからです。
ITを駆使して過去のデータから地域の特性に合わせた営業を行うことで、こうした長年続いている塾の手法をシステム的にトレースできます
つまり地域特性に合わせた新規獲得や受講数の増加などが見込めるということです。
また問い合わせのデータも蓄積できるため、見込み客に対するアプローチの方向性を立てられやすいです。
塾管理・経営システムを導入するメリット

塾管理・経営システムを導入するメリットには、次の3つが挙げられます。
- 保護者や社内で密なコミュニケーションが取れる
- マンパワーに頼らない安定した塾運営を実現
- CRMで入塾率を高められる
もちろん他にもありますが、メリットの大きさを加味するとこの3つが重要なのです。
メリット①保護者や社内で密なコミュニケーションが取れる
保護者や地域、塾内でのコミュニケーションは塾にとって生命線です。
メールや電話、メッセンジャーツールなどさまざまながありますが、これを一元化できるのがシステム化の大きなメリットと言えます。
保護者、社内で密なコミュニケーションが取れていない場合に、最も悪い影響を受けるのは最も大切なはずの生徒です。
例えば指導の方向性です。やる気の出ない子がいて、講師たちが必要以上にソフトに接した場合を考えてみましょう。
この方針が保護者に伝わっていなかったら「あの塾は頼りにならない」と評価される恐れがあります。
社員に伝わっておらず、別の講師が現場で担当した場合に、あまりのやる気のなさに叱ってしまうことも考えられます。
今、何を目指して指導をしているのか。
「一人ひとりをよく見る」が求められる現代だからこそ、システムを活用しコミュニケーションを密にすることで他塾との差別化に繋がります。
メリット②マンパワーに頼らない安定した塾運営を実現
情報共有とともに、多くのデータを蓄積することで個人に頼らない教室運営ができます。
規模の大小に関わらず、どの塾でも頼らざるを得ないのが人気講師。
そんな人気講師は頼りになりますが、頼りきりになるのは危険です。
その講師が辞めてしまった最悪の事態をイメージしてみてください。
現場の活気が減り、生徒もやる気も下がってしまうかもしれません。
それほど講師の力量に依存してしまうケースが少なくないのです。
その人気講師が独立をして同じ地域に塾を作ることもあり得ます。
このようなリスクを避けるためにも、マンパワーに頼らない状況を作ることは企業の繁栄には欠かせません。
メリット③CRMで入塾率を高められる
子供が一人ひとり違うように、地域や学年によっても求められるものは変わります。
新規募集獲得の戦略立案に必要なのは、地域別・学年別など細部に渡る膨大なデータです。
学習塾において、生徒募集で一番力を入れるのは春の新中1、新中3、新高1なのではないでしょうか。
もちろん、夏の中3、高3や定期テスト後の各学年も狙いやすいところです。
夏を過ぎたあたりから小6や高2の入塾も見込めます。
その際、毎年同じような広告を打ち出しているだけでは効果は低いです。
各学年の学力状態、ニーズに合わせて、ターゲットを定める。
これがシステムを使うと効率的に実現できます。
地域や学年のニーズを理解した上で募集戦略を行えるわけですから、効果があるのはほぼ確実。
成功確率は飛躍的に高まることでしょう。
現場の講師の感覚に委ねるのではなく、客観的なデータに基づいて募集戦略を立てること。
それこそが地域に合わせた優しい指導をしている印象を与え、教室の繁栄へと繋がるのです。
塾管理・経営システムを導入するデメリット

塾管理・経営システムを導入する場合、メリットだけではなくもちろんデメリットもあります。
- 開発の場合イニシャルコストが高い
- ASPサービスの場合ランニングコストがかかる
- 目的を持って導入しないと宝の持ち腐れに
こうしたデメリットはあるものの、それを補って余りあるメリットがある点は理解しておきたいところです。
デメリット①開発の場合イニシャルコストが高い
システム開発を自社で行おうとした場合、イニシャルコストが高くなります。
ピンからキリまでありますが、よりよいものにしようとするほど費用が大きくなります。
いくら現場の経験を積んだ講師が在籍していてもシステム構築には関係がありません。
システム開発には、IT分野に特化したプロの手が必ず必要になるからです。
ですがさらに悩ましいのが、プロに依頼をした場合でも、必ずしもうまくいくとは限りません。
新規のシステム開発の場合は、安定した運用までに混乱が起きる可能性が高いです。
そうなると大変なのは現場でしょう。
職員も想定していなかったトラブルに何度も遭遇する恐れがあるため、これが悪評に繋がる場合もあります。
これからシステムの導入を考える場合は、システムごとの良悪を判断し、自塾にあったシステムを取り入れるようにしましょう。
デメリット②ASPサービスの場合ランニングコストがかかる
システムには開発型意以外にも、月額料金を支払って利用するASPサービスがあります。
ASPサービスでは、事業者が開発したベストプラクティスのシステムをそのまま利用でき、開発コストが不要です。
そのためイニシャルコストがほとんど発生しませんが、代わりにランニングコストが継続的に発生することに。
ランニングコストは固定費を圧迫するというデメリットがありますが、アップデートがあれば自動的に適用され、継続的なサポートなどまで受けられる点が大きな魅力。
新機能なども自動的に追加されるなど、自社開発のシステムにはとても実現できないサービスが包括されています。
デメリット③目的を持って導入しないと宝の持ち腐れに
塾管理・経営システムは現在、様々な機能が準備されており、どのシステムも魅力を感じるものが増えています。
ですがすべてのシステムが自塾にフィットするわけではありません。
システムを導入するときのポイントは「自社の欠点を補えるか」です。
職員のためを思って導入した場合でも、一部の社員からは反発される恐れもあるでしょう。
力のある講師に伸び伸びと仕事をしてもらえる環境を奪ってしまう恐れもあります。
いくら素晴らしいシステムとはいえ、使い方を間違えてしまったら宝の持ち腐れです。
自塾に今、何が足りず、これからどういう方向に向かっていきたいのか。
経営者の明確なビジョンと職員の参加が、システムを決定するうえで必要不可欠なのです。
塾管理・経営システムまとめ

「生徒のため」という魔法の言葉だけで職員を動かせる時代は今や過去の話です。
現場の講師を大切にすることが、より安定的な経営に繋がります。
そして無条件に現場を大事にしていれば経営がうまくいく時代も終わりを告げました。
これからの時代は塾もITを導入する時代です。
オンライン学習塾がその典型でしょう。
とはいっても、面と向かった指導を行うことも、塾には必要です。
教室の空気、クラスの雰囲気、先生の呼吸やリズム。
教え方だけで成立しないのが学習塾です。
そんな時代だからこそ、塾管理・経営システムを導入し、職員の負担を減らしながら、募集効率を上げていく必要があります。
ぜひ自塾にあったシステムを導入し、よりよい教育を目指してください。
\ビットキャンパスの詳細はこちら/
