塾講師のリスキリングと塾経営の未来

コラム

変化のスピードが速い時代、未来を予測した経営に取り組むことは重要ですが、予測通りにいくとも限りません。

経営の神様ピーター・ドラッカーは「未来を予測する最善の方法は、自ら未来を創りだすことだ」と述べています。

塾講師も自らの未来を創り出し、その努力の姿を子供たちに伝えることによって、新たな塾経営の未来が見えてくる時代が近づいています。

リスキリング

2020年1月、世界経済フォーラム(ダボス会議)で「リスキリング革命」が発表されました。

リスキリングは新しい知識やスキルを学び直すことですが、第4次産業革命に伴う急激な技術革新に対応するには、今後多くの人にリスキリングが必要になると分析しています。

業務の機械化・デジタル化により、2025年には仕事量の48%を人間が、52%を機械が担うことになる予測です。

今から3年後、人間と機械の仕事量が半分ずつになります。

これにより、8,500万件の雇用が失われる一方、新たに9,700万件の雇用が生まれると言われています。

仕事を奪われる暗い話ばかりではなく、今までなかった新たな仕事が創出されますので、リスキリングの必要性が高まっています。

オープンバッジと学習歴社会

学校を卒業して社会人になってからもリスキリング(学び直し)が必要な時代になると、会社での昇進や転職において、新たに獲得した知識やスキルの履歴が重要になってきます。

海外では既に、個人の学習や経験、活動や実績等の幅広い証明を教育機関や企業が行い、「オープンバッジ」と呼ばれる認証を共有・公開しています。

オープンバッジの仕組みは2013年頃に始まり、2020年には世界で約4,330万個が発行されています。

発行数は2018年から2020年までの2年間で約1.8倍に伸びており、日本でも企業研修や検定試験、授業等でオープンバッジが使われ始めています。

例えば、データ分析のオンラインコース受講が終了すると、修了証としてオープンバッジがオンライン上に発行されます。

企業が「このポジションに就くには、このバッジが必要」と募集すれば、そのバッジを取得している人が採用されるようになります。

米国のIT企業では、学歴がなくても高いITスキルを持つ人を、従来のホワイトカラーでもブルーカラーでもない「ニューカラー」と呼んでいます。

学習塾の講師は教科学習のプロですから、授業に取り組みながら、講師自身もリスキリングで新たなスキルを習得し、オープンバッジを取得していくことが新たな未来につながります。

例えば、日本数学検定協会が実施している「ビジネス数学検定」は、仕事に即した数学力を5つの力(把握力・分析力・選択力・予測力・表現力)に分類し、それらの習熟度を測定する検定です。

合格すると、「ビジネス数学検定」のオープンバッジが取得できます。

さらに「データサイエンス数学ストラテジスト」という、データサイエンスにおける数学を扱う技能を認定する資格もあり、合格すればオープンバッジを取得できます。

学習塾で数学を教えながら、講師自身も数学関連のオープンバッジを取得し、人材需要の高いデータサイエンス分野に転職することも可能になります。

何より、学歴を積んだ講師が、大人になっても学習し続けている姿勢は子供たちにとっても刺激になります。

そのような講師が多く在籍する学習塾は、保護者にとっても魅力的に映るでしょう。

これまでの学習塾は、有名大学に合格してより高度な学歴を子供に身に着けさせることを重視してきました。

リスキリングやオープンバッジ制度の時代は、大人になってからもどんなスキルを学習してきたのかが問われる時代です。

学歴以上にどんな知識やスキルを学習してきたかという、いわば「学習歴社会」の到来です。

塾講師のリスキリングと未来の学習塾

従来の学習塾は、生徒が学習する塾でした。

つまり、講師は「教える」、生徒は「学習する」という構図です。

しかしこれからは、講師も生徒も「学習する」時代です。

学習する人が集まる場がこれからの学習塾となります。

仕事の半分を機械が担う時代に人間に求められるのは、テストで例えれば、正解を答えるのではなく、正解を作っていく時代になります。

仕事の半分は機械が担うのですから、社会の変化のスピードは猛烈に速くなります。

学んだことがすぐに陳腐化する可能性が高くなります。

その時にリスキリングして新たな知識やスキルを習得し、講師がいなくても自力で進路変更できることが生徒の未来を創ります。

勉強の仕方を教える指導は既にありますが、このような生徒の未来を前提にすれば、全員に同じ勉強のやり方を教えるより、生徒個人の特性に合った学習法を身に着けさせた方が、生涯役に立つ財産を生徒に提供できます。

講師もスキルアップのために自ら学習し、学習し続けている姿勢を生徒に見せ続けなければなりません。

「生徒の未来を塾と共に創る」ための学習指導、進路指導に力を入れていることが、将来を憂う保護者の共感を得ることができ、塾経営の未来が担保される時代がきているように思えます。

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