2019年に発生した新型コロナウイルスの猛威は、2021年2月末日現在でも一向に終息の兆候が見られません。
命に直結する問題であるため、学習塾では経営対策はもちろん、感染予防も行わなければなりません。自塾でクラスターが発生してしまっては、経営どころではないですからね。
そこで今回は、塾が取るべきコロナ対策についてご紹介します。
塾業界の状況や、すぐに始められるや一歩進んだ感染対策、そして経営的な目線でするべきことをお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
新型コロナで塾業界も厳しい状況に
ニュースでは、新型コロナの影響で苦しい経営状況に陥っているケースとして、旅行業界や飲食店がクローズアップされています。
しかし、実際にはサービス業だけでなく製造業、加工業、農業など様々な分野で新型コロナの影響は大きいです。
塾業界も新型コロナにより厳しい状況に立たされています。
全国各地で塾のコロナ倒産が現実のものとなっているのです。
ここでは、塾のコロナ倒産についてお伝えします。
全国で塾のコロナ倒産が現実のものに
新型コロナは、小・中規模の塾だけでなく、大企業もしくは老舗塾を倒産に追い込んでいます。
その理由は、他業種の景気悪化です。
コロナ流行時、緊急事態宣言や自粛要請により家計の収入が大幅に低まりました。
先の見えない不安な状態は、消費者の行動を抑制します。
学校も入試も、さらには家計の状況もどうなるかわからない。
このような状況により、退塾を決断しやすい状態が生まれたのです。
さらには1年以上経っても終息の兆しが見えず、加えて塾に通う=感染リスクと考えられ、入塾、通塾を控えるケースが増えています。
また、塾のコロナ倒産は入塾者数の伸び悩みも理由の1つです。
家計の収入が増え、経済が安定してようやく通塾する家庭が増えます。
そのため、塾業界の状況改善は他業種に比べて遅くなる傾向にあるのです。
イニシャル、ランニングコストを抑えられる塾業界とはいえ、補助金だけでは限界があります。
このような理由から全国各地でコロナ倒産が相次いでいるのです。
塾が取るべきコロナ対策は至ってシンプル
コロナの影響で塾業界の元気がない状態ではありますが、すべての塾が倒産しているわけではありません。
中には例年以上に成果を上げている塾もあるのです。
それは、コロナ対策をしっかり行い、生徒と保護者に「安心」を提供できるか否かにかかっていると言えます。
塾が取るべきコロナ対策はとてもシンプルで、
- 密の回避と十分な換気
- 手洗い・除菌・マスク着用の徹底
- 王道のコロナ対策を教室全体でやりきる
の3つです。
何事も基本に忠実に、きちんとやりきることで、信頼を勝ち取りましょう。
密の回避と十分な換気
塾は教室が広く設定されているケースは少ないです。
広いところでも30名から40名ほどの生徒でパンパンの状態になるでしょう。
そのため、通塾時間を調整してクラスを分けたり、補講を行ったりして、授業数を減らさないようにしつつ密を回避しなければなりません。
集団塾はもちろん、個別塾でも密の回避には細心の注意を払いましょう。
また、放課になったら必ず換気を徹底して行うように指示し、現場からの報告をさせてください。
講師は授業に没頭しがちです。
そのため、授業が終わると一息ついてしまい、換気を忘れるケースも少なくありません。
経験の少ない講師はもちろん、ベテランでも抜けてしまう場合があるため、教室全体で換気を徹底する体制を整えましょう。
手洗い・除菌とマスクの着用
生徒に当塾時の手洗いやアルコール消毒などの除菌、マスクの着用を徹底させましょう。
中には「めんどくさい」と、講師の目をかいくぐる生徒もいるため、全員が実施したかどうかチェックする体制づくりが必要です。
そのためには、入口などで講師が生徒をチェックするのが確実でしょう。
例えば、
- 手洗い場付近にアルコール消毒を持った講師を立たせる
- 教室に入る前(玄関でも可)に、講師が実施しているか確認する
- 生徒に教室内での待機を徹底させ、講師がチェックに没頭できる環境を作る
などがあります。
「やれよー」だけ言っていても、やらないのが生徒です。
言葉だけで実施ができれば、どの生徒も成績がグングン上がっているでしょう。
講師の言うことをちきんと聞く生徒なわけですから。
生徒は講師が思っている以上に、言う通りにしません。
そのため、コロナ対策に限っては、徹底して管理できる大切を作らなければならないのです。
王道のコロナ対策をしっかりと行って信頼を勝ち取る
巷で行われているコロナ対策は、現在はやって当然と思われています。
世間ではインフルエンザ以上に、徹底して感染対策を行う価値観が、新型コロナにはあるのです。
そのため、やっていても当然ですが、やっていないと非難の的になるのは目に見えています。
「しっかりと行う」は85%、90%の達成率ではありません。
基本的なコロナ対策を100%やりきって、はじめて世間から「しっかりしている塾だ」と認知されるのです。
子供は講師が思う以上に、講師の言動を見ています。
家に帰って親に「1時間目が終わってから換気してなかった」「先生がマスクしてなかった」などと言われてしまっては、退塾のリスクが大きくなるのです。
生徒から「コロナ対策をしっかりしている」と認知されるために、まずは基本的なコロナ対策を100%行うように努めましょう。
>>新型コロナ禍における塾の役割とは?教育分野で社会へ貢献する
更に新型コロナ対策を一歩勧める
王道のコロナ対策は、どのような形態の塾でも絶対に行わなければなりません。
加えて、新型コロナ対策として、一歩進んだシステムの導入を行うと、生徒や保護者からの信頼は厚くなります。
大規模の塾では、以前から対応が行われているものもありますが、中小規模の塾では遅れがちになっている、
- リモート授業の導入
- 映像授業の導入
- 基幹システムのクラウド化
の3つがポイントです。
初期投資が必要な部分はもちろんありますが、時代の流れに乗るのも経営に必要な判断。
コロナにより、急激にITが当たり前である時代を迎えたため、積極的に取り入れるようにしましょう。
リモート授業の導入
スマホやタブレット、PCにより、リアルタイムで授業を受けるリモート授業。
空間が教室からネットに変わっただけなので、きちんと生徒が授業を受けているかもチェックできます。
また、保護者は先生の生の授業を受ける機会はほとんどありません。
そのため、リモート授業を機に保護者に授業を見てもらうチャンスでもあります。
新人だとハードルが高いかもしれませんが、中堅以上の講師なら十分評価が得られるでしょう。もちろん、プレッシャーは大きいですが…。
これは逆転の発想で、保護者に授業を見てもらい、「良い」と感じさせられれば口コミに繋がる可能性があるのです。
普段、子供から「わかりやすい」「楽しい」だけ聞いているよりも、もっとリアルな口コミが生まれるでしょう。
何かが変われば、マイナスはありますが、プラスも必ず生まれます。
やらない理由よりもやる理由を模索し、社員を引っ張っていきましょう。
映像授業の導入
塾でのリモート授業のデメリットは、時間と設備が多くかかる点です。
リモート授業のために、全講師が授業を行うと、隣の教室で行っていても声が入ってしまうケースもあります。
そこで、映像授業も非常に有効です。
自社で提供する場合、1人の講師が授業を録画するだけで済みます。
授業スキルの低い講師の授業を、保護者の前に出さずに済むのです。
また、撮影する講師以外は授業がないため、教材作成や電話がけ、リモートでの業務など、業務の効率化にもつながります。
外部の映像授業を利用するのも、コストはかかりますが選択肢の1つです。
これまでアナログで、対面式の授業を行ってきた塾は多いでしょう。
そして、リモート授業や映像授業への不安の声は少なからずあるため、切り替えがしづらかった経営者の方も多いはずです。
それがコロナにより理由付けができるため、ITを利用した授業への切り替えは保護者の理解も得られやすい状況になっています。
これから先はITなしでは時代に取り残されるため、今回を機に、大きく方向転換するのも懸命な判断と言えるでしょう。
基幹システムのクラウド化(自宅待機になってもアクセス可能な環境づくり)
生徒への対応はもちろん、職員への対応もコロナ禍の塾経営には必須です。
そこで、基幹システムのクラウド化が重要になります。
生徒が塾に来られないときでも学習指示が出せる状況は絶対に作らなければなりません。
それは、自宅での勉強の取り組みを親が見れるからです。
家にいて、
- 全然やってない
- ながら勉強している
- 集中していない
となってしまっては、塾に通わせる意味がない=退塾に繋がります。
生徒が親に言い訳で、「何やればいいかわからない」という場合もあるでしょう。
そのため、生徒が自宅でもいつ、何をやればいいか明確にする必要があるのです。
また、講師も密を避けるためにリモート業務できるようにしなければなりません。
保護者への電話がけ、カリキュラム作成など自宅でもできる業務は多いです。
しかし、個人情報の流出などのリスクもあるため、紙やデータの持ち出しは避けなければなりません。
そのため、基幹システムをクラウド化し、自宅での業務を円滑に行える体系を整える必要があるのです。
現在は、生徒の授業管理だけでなく、塾の業務管理も1つのシステムでできるサービスも提供されているため、気になる方はぜひ、一度覗いてみてください。
>>ビットキャンパスとは?塾が開発した塾のためのシステムをやさしく解説
まとめ
新型コロナの影響は、塾業界にも大打撃を与えています。
全国各地で倒産が相次ぐ中、対応に遅れた塾から淘汰される現状なのです。
コロナ対策として、王道の対策を徹底して行い、チャンスがあればリモート授業や映像授業、基幹システムのクラウド化を図り、Withコロナの状態を作ることも必要になっています。
さらには、企業を存続させていくために、事業継続計画(BCP)も考えなければなりません。
最後のポイントとして、BCPについてご紹介します。
事業継続計画(BCP)の発想も、これからの塾には必要。
2002年のSARS、2009年の新型インフルエンザ、2012年のMERS、そして今回の新型コロナ。
これら以外にも鳥インフルエンザのヒトへの感染や豚コレラの発生など、歴史上稀なペースで様々な感染症が発生しています。
また、台風による被害や、南海トラフ地震が危惧されるなど、天災が発生する恐れも。
このような何が起きてもおかしくない時代だからこそ、何が起きても生き延びる策を打っておかなければなりません。
事業資産の損害を最小限に抑え、事業の継続と早期回復ために常に行うべき内容を準備しなければならないのです。
今回の新型コロナウイルスでは、このBCPが十分に準備されていなかったため、ここまで大きな被害が生じたとも言えます。
BCPはウイルス対策だけなく、システム障害や不祥事等の対処など、広い意味を持つため、あらゆる視点で対策を万全にしておきましょう。
現在進行形での対策はもちろん、未来を見据えた動きが必要になる塾業界。
少子化、塾の乱立、ニーズの多様化など、塾ならではの問題も多いです。
しかし、これは塾業界では度の塾も抱える問題と言えます。
そのため、あらゆる手段を用いて、様々な問題を解決しながら、リスクを回避する状態を作ることが、今後も激化が予想される塾業界での戦いを勝ち抜く理由となるのです。
大変な時代だからこそ、本物が生き残る。
ぜひ、経営者が先導し、どんな状況にも左右されない強い企業を創り上げていってください。
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