塾の運営業務とは?塾を支える重要な運営・管理業務を紹介

学習塾の業務

塾講師といえば、現場で生徒に教えるイメージが強いです。

しかし、塾講師もサラリーマンです。

他の業種と同じように、運営・管理業務へのキャリアアップもあります。

身近なところでは教室長というポジションがあり、大手の塾であればエリアマネージャー、事業部長とさらなるステップアップも可能です。

運営・管理業務につくと、それなりに多忙となります。

ですがその分だけ現場の一講師では感じられない楽しさや面白さがあるのです。

教えることが好きで塾業界に入った後、年齢と経験を重ねるにつれ、他業界に進んだ友人と同じように、より大きな組織でマネジメント業務を経験したくなる時も来るでしょう。

ここでは塾の運営業務の裏側をご紹介します。

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塾の仕事には教務と運営の2つが存在

学習塾の教室現場の仕事には、教務と運営の2つの業務があります。

生徒一人ひとりに対する責任はどの講師も同じです。

ですが塾の運営業務にも大きな責任を伴います。

双方の努力によって顧客にとっての最善の指導が行われるのです。

  1. 現場で生徒と関わる仕事
  2. 運営・マネージャーとしての裏方の仕事

まず上記の2つの違いについて、それぞれの特徴も交えながらご紹介します。

現場で生徒と直接関わる仕事

現在の塾講師の役割は、ただ教えるだけでは十分とは言えなくなりました。

実際に生徒と関わり、授業を行い、質問に答えたりするだけが仕事ではないのです。

  • 悩みなどの相談に乗る
  • 何でも話せる良き理解者になる
  • 変化(学校でのいじめや友達との関係悪化など)に気づく

こうした勉強以外のサポートも非常に重要です。

これらを行うために、実際に講師として授業を行う場合もあれば、現場の責任者として他の講師に指示を出し、教室全体を見渡すような業務もあります。

  • 洞察力
  • 人心掌握力
  • コミュニケーション力

現場の講師に求められるスキルは、こうした幅広いものが求められるようになりました。

大変そうに感じるものですが、「これだけは誰にも負けない」と自負できるスキルが何か一つでもあれば、次のステップへの扉が開きます。

そして現場に携わるポジションで最も高い位置にあるのが教室長であり、一般的な出世としてはそこを目指す方が多いのではないでしょうか。

教室長は運営やマネージャー的な役割をこなしつつ、一人ひとりの生徒に指導する役割も担います。

  • 生徒や保護者からの支持
  • 圧倒的な指導力
  • 危機を乗り越え、業績を創り出す能力

教室長は上記のような一般の講師よりもさらに多くのスキルが求められます。

運営・マネージャーとして業務する裏方の仕事

塾にはたくさんの裏方の仕事があります。

  • 生徒のカリキュラムや時間割作成
  • 月謝などの経理処理

上記のように生徒に関わるものもあれば、表からは見えない裏方の仕事もあります。

たとえば運営・マネージャーとしての一番の役割は「生徒を集めること」です。

利益が上がらなければ塾として経営ができず、良い指導もできません。

塾は教職に近い存在とはいえ企業ですから、売上に直結する生徒募集活動はとても大切な仕事です。

新規問合せや入塾生を獲得する為には、以下のような仕事が求められます。

  • 募集戦略や行動スケジュールを立てる
  • 校門配布やポスティング等、広報計画を立て、実施する。
  • 報告を取りまとめ、現場での問題を解決する。
  • 社員や講師のフォロー

質の高いサービスが地域での口コミになりますので、以下のような社員や講師への指導も必要です。

  • 社員や講師への様々な研修
  • 生徒や保護者対応についての指導
  • 教室運営の問題点や改善点の指摘

こうした幅広い業務をこなすためには、現場経験を数多く積み重ねることが必要です。

自らの経験を基に的確な指導を行い、各教室の売上の拡大へと導きます。

つまり裏方の仕事は塾が発展していくためには非常に大切なポジションと言えます。

小規模塾では兼任するケースも多い

地域で展開している塾や数校舎の塾など、小規模な塾では現場の講師をやりながら、運営・管理業務を兼任するケースも多いです。

業務量は増えますが、兼任するメリットもあります。

それは現場の声を方針に反映させやすい点です。

  • 生徒の出来が悪い場合、新しい教え方が見つかる
  • 現場で起きた問題を共有し、講師力アップが図れる
  • 教育改革などの流れに敏感かつ正確に対応ができる

運営・管理業務を行う人間が現場にいるのは、生徒や保護者にとってはもちろん、講師にとっても安心の材料になります。

上司が現場でがんばる姿を見せることで、部下のモチベーションアップにも繋がります。

しかし現場と管理・運営業務の両立はかなりハードです。

やりがいや達成感だけで動くことは難しいですから、心身の強さが求められます。

>>塾の経営は難しい?これから開業を目指す人が知っておきたいこと

塾の運営・マネージャーとしての仕事とは?

大枠は前述の通りですが、さらに掘り下げて塾の運営・マネージャーとしての仕事をご紹介します。

塾運営の業務は大きく分けて、以下の3つがあります。

  1. 従業員・スタッフのシフト管理
  2. 集客・マーケティング
  3. 営業・売上管理

どれも塾を運営する上で肝となる内容なので、運営・マネージャーを目指す方はぜひ知ってください。

塾運営業務① 従業員・スタッフのシフト管理

従業員やスタッフのシフトを決めるのは思っているよりも気を遣う難しいものです。

ライフワークバランスが叫ばれる現代では相当な労力が求められるでしょう。

わかりやすい講師、面白い講師に人気が集中するため、生徒や保護者からの指名も多いです。

逆に力のない講師の場合、内容によっては生徒の退塾に繋がる恐れがあるため、塾側もある程度は要望を聞く必要があります。

特に個別指導の場合は「この先生は担当から外してほしい」と生徒や保護者から言われることもあります。

そのため人気講師に負担が集中する傾向にあるのです。

このバランスを取りながら現場をうまく回さなければならないため、相当な工夫が必要になります。

運営・管理を行う立場になると、これらに迅速に対応しなければなりません。

また体調を気遣うことや、モチベーション維持のために講師やスタッフとのコミュニケーションも必要です。

講習会や入試、定期テスト対策の時期になると、どの講師も多忙になるため、一層の注意が必要となります。

塾運営業務② 集客・マーケティング

生徒を集めるのはマネージャーの仕事です。

教室長の力量に任せるのではなく、具体的な戦略を立てなければなりません。

そのために下記のような仕事が求められます。

  • 集客の企画・立案
  • 現場での実行
  • 相談・報告への適切な対処

さらに外部にも目を向ける必要があります。

  • 地域によって子供の数の増減が激しいこと
  • 同学年でも学力がバラバラであること
  • 他塾がどのような動きをしているか知ること

こうした多面的な視点が必要なのです。

集客には時代の流れだけでなく、地域の状況にマッチしたマーケティングが必須であるため、あらゆる情報収集をしなければなりません。

さらに現場の講師の力量と状況を考えながら、運営方針を立てる必要があります。

生徒に良い施策でも、職員やスタッフへの負担をかけ過ぎれば企画は成功しません。

俯瞰的に教室を見つめ、地域と現場の状況を客観的にとらえる力が必要となります。

塾運営業務③ 営業・売上管理

塾に営業は必要ないと思われる方もいらっしゃいますが、塾にとって営業は最も大切な仕事です。

  • 体験授業・説明会
  • 保護者対応(面談)

こうした2つの対応があります。

どれも保護者が相手になりますが、塾以外の業界でも営業に重要なのは「課題を聞き取る力」です。

塾探しをしている方はもちろん、通わせている保護者の誰もが課題を抱えています。

  • 何を問題としているのか
  • 何を解決したいのか

こうした保護者のニーズを的確に読み取り、その問題を解決するために自塾のサービスを紹介しなければなりません。

課題解決に向けた現実的なプランが提案できれば保護者も生徒も心を開きます。

こうした地道な取り組みが売上に直結していくのです。

塾の魅力、教室の良さを伝えたいあまり、保護者面談時に一方的に話し続けるマネージャーもいますが、これは塾側にとっても保護者にとってもよくありません。

塾にとっては、入塾した後、長く継続していただくことが必要です。

そのためには、保護者が塾に何を求めているのか、どんな考えで子どもを入塾させようとしているのか、本音ベースでじっくり耳を傾けることが重要です。

自分の話を塾がよく聞いてくれたと満足した時、面談室を出る保護者の表情が明るくなります。

逆に、少しも聞いてくれなかったと思っている場合、表情は暗くなります。

保護者面談室を出る時の保護者の表情は、面談成否のバロメーターです。

保護者の口コミで集客ができている塾ほど、保護者面談時間を長くとる傾向があります。最低でも1時間、塾によっては、保護者が満足するまで時間をとる塾もあります。

つまり保護者と生徒の心をつかむこと。これが塾に求められる営業です。

また塾はどうしても夏以降の売上アップがとても重要視されます。

講習会や受験講座など、オプションの売上はかなりの額ですから、策を練り新規顧客の獲得に向けた施策が求められます。

先を見越して売上の算段を立てて目的の売上に到達させ、校舎運営を行うために日々の積み重ねが重要なのです。

>>塾に寄せられるクレームの原因と対応方法とは?クレームから学ぶ

塾の運営は大変だがやりがいは大きい

より良い授業を目指せば、準備や授業案作成に時間を割かなければなりませんし、生徒一人ひとりの理解度も把握しておかなければなりません。

そのような、講師としてのスキルを身につけながら、運営・マネージメントに関わる力もつけなければなりません。

その両立は大変ですが、運営に携わる立場になれば、現場での仕事と同じくらい、場合によってはそれ以上にやりがいは大きいです。

特にやりがいを感じるポイントは下記の3つ。

  1. 合格発表
  2. 生徒の人間的な成長に出会える
  3. 卒業した生徒たちの声

責任が強くなるほど現場の生の声を聞く喜びも大きいです。

大変でも合格発表日にすべての苦労が報われる

現場の管理に子供の指導、職員のフォローなど、運営・管理の立場になると多忙な日々を過ごします。

夜遅くまで仕事をし、フラフラで家路に着く日もあるかもしれません。

しかしそんな日々の疲れや苦労を吹き飛ばしてくれるのが合格発表当日です。

大切に指導してきた生徒が「先生受かったよ!」と大喜びで教室に駆け込んでくる時。

涙を流して喜ぶ生徒の表情。

そして、「おめでとう!」の握手。

合格発表には保護者も来る場合が多いので、保護者から「ありがとうございます!先生のおかげです」と言葉をいただく場合もあるでしょう。

日々の定期テストでも感謝されることはありますが、やはり合格発表での感謝の言葉は格別です。

講師であれば、直接担当する生徒の合格がうれしいのですが、教室全体を運営・管理するマネージャーにとっては、教室にいる生徒全員の合格の喜びを実感できるのです。

運営・管理する仕事は大変な面もありますが、その分、喜びや幸せを実感できる量も増えるのです。

どれだけ辛く、苦しい日々を送ってきても、合格発表の日にすべてが報われたと感じられるでしょう。

成績向上を通じて子どもの人間的な成長を目の当たりにできる

ある塾長が言っていました。

「子どもの成績が上がると、子どもも自信がつくし、教える方もうれしいし、保護者はもっと喜んでくれて、みんな幸せな気持ちになるんだよね」。

成績を上げることが塾の使命ですが、その使命を全うした先に、みんなの幸せな喜びと笑顔と感謝が待っている仕事が塾の仕事です。成績が上がる過程で人間的な成長も磨かれます。

一度でもその喜びを味わうと、塾の仕事を離れられなくなるでしょう。

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まとめ

塾の運営・管理業務は非常に大変です。

一講師以上の業務量は覚悟しなければなりません。

小規模の塾では、現場と運営・管理を兼任するケースもあります。

一方、講師では味わえない仕事の面白さや楽しさを感じられるのも事実です。

自分の指導で子供の成長を目の当たりにできたり、卒業後に自分を慕って教室に遊びにきてくれたり、講師として働いてくれたりもするでしょう。

塾講師は、生徒の未来を変える可能性のある存在です。

良い講師との出会いは、子どもの未来を明るくします。

現場で講師をされている方は、ぜひ興味があるのであれば、運営・管理という裏側の仕事も目指してください。

いい先生が運営・管理に携わると、よい指導が塾全体に広がります。

そうなれば、より多くの生徒が幸せになれる可能性も広がります。

やってみなければわからない面白さのある裏方の仕事。

ぜひ学習塾の仕事の楽しさを実感してみてくださいね。

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