選ばれる塾になるには?人気の塾に必要な要素とは

学習塾の集客

現在の塾業界は、少子化の影響を受けながらも、地域においては塾が乱立している状況です。

指導スタイルも、集団指導や個別指導、自立学習、映像授業など、様々な形態の塾が存在します。

指導方法も、予習重視や宿題量にこだわる塾、演習中心など、多岐にわたる教育手法を提供しています。

しかし、様々な特徴があるとは言え、塾は大きく二つに分かれます。

選ばれる塾とそうでない塾です。残念ながら、多くの塾が厳しい経営環境に直面しています。

ここで私たちは、選ばれる塾、つまり人気のある塾に不可欠な要素について掘り下げたいと思います。

選ばれる理由と避けられる理由を理解し、自塾の現状を見直して改善することで、地域の評判を高めていくことが重要です。

この記事では、人気の塾になるための具体的なポイントを詳細に解説していきます。

選ばれる塾にはこんな理由・要素がある

まず、選ばれる塾の最大の特徴は、現在通っている生徒や保護者からの強い推薦です。

「あの塾はいいよ」という声が地域で広がることが、塾の人気を左右する大きな要因となります。

特に塾業界では、口コミの重要性が非常に高いと言われています。

ですが、このような口コミは自然には生まれません。

塾としては、積極的な取り組みを通じて、自ら口コミを生み出す努力が求められます。

それでは、具体的にどのような要素が選ばれる塾には必要なのでしょうか。主な要素としては以下の3点が挙げられます。

  1. 実績があること
  2. 授業が理解しやすく、サポート体制が充実していること
  3. 生徒にとって居心地が良い環境であること

これらの要素を一つずつ詳しく見ていきましょう。

理由① 実績があること

塾を選ぶ際、最も重要視されるのは、その塾の実績です。

言うまでもなく、実績は信頼の基盤となります。

多くの場合、志望校への合格実績が最も注目されますが、実際はこれに限りません。

定期テストでの成績向上、生徒の偏差値の向上、勉強に対する姿勢の変化など、様々な形での実績があります。

地域での口コミにつながらないといけませんから、保護者が話しやすい実績であることが重要です。

例えば、「算数オリンピックで1番になった子がいるんだけど、あの塾に行ってるんだって」とか「あの子が急に頭が良くなったってうちの子が言ってたんだけど、その子はあの塾に通ってるらしいよ」といった実績です。

「1番」「急に」といった、わかりやすい実績であることがポイントです。

地元のトップ高合格者が昨年より5名増えたというような実績は、塾側はアピールしたくなりますが、保護者にはあまり響きません。これも「○○高校なら、この辺ではあの塾が1番いい。」という「1番」ネタにしないといけません。

病院の治療に例えると、「椎間板ヘルニアだったらあの病院が一番いい」と口コミされますが、口コミしている本人は、治療実績(塾なら合格実績)が〇件あるとか具体的に知って言っているわけではないでしょう。「すぐに治った」「先生が権威」とか、これも「すぐに」「1番」というわかりやすい評価のはずです。

よく言われるように、「日本で一番高い山」は言えても「二番目に高い山」はなかなか言えないのです。

「何で実績を積むか」「何で一番になるか」が実績には重要です。

塾の役割が単に知識を教えることだけでなく、生徒一人ひとりの可能性を引き出すことにあるとすれば、日々の指導によって生徒がどのように成長しているのかも、重要な実績として捉える必要があります。

当然ですが、そのような実績は、SNSやブログ、ホームページなど、検索しやすい場所でアピールされていなければなりません。

理由② 授業がわかりやすくサポート体制が充実していること

理解しやすい授業は、生徒にとって最も重要な要素の一つです。

授業のわかりやすさとは、単に難しい内容を簡単に説明することだけでなく、生徒が自ら学ぶ意欲を持てるように導くことも含まれます。

コップが下を向いたままでは水を注ぐことはできません。わかりやすい授業準備に力を注いだとしても、生徒が授業を聞こうという気にならなければ意味がありません。

したがって、「授業がすべて!」と信じる先生には意外に思われるかもしれませんが、授業がわかりやすいという評判を得るには、生徒との人間関係、信頼関係構築が前提になります。

生徒の好きなドラマやゲームなど、生徒が関心を持つ分野に興味を持ち、それをきっかけに生徒が話しやすくなる人間関係をつくることから始まります。そこからコミュニケーションの回数を重ねていくと、時折「これどうしたらいいかな?」と相談を持ちかけられるようになります。

そんなコミュニケーションに誠実に対応していくことで「あの先生が言うことなら信用できる」という信頼関係ができてきます。言い換えると、その様な取り組みが「充実したサポート体制」につながります。

コップが上を向けば、授業も集中して聞いてくれます。その時こそ、わかりやすい授業準備に注いだ時間と労力が報われます。

さらに、生徒の質問に対する迅速かつ的確な対応、個々の生徒の学習状況に合わせた個別指導、苦手分野へのフォーカスなどが、保護者と生徒双方からの信頼を勝ち取る要因となります。

理由③ 生徒が居心地がよいと感じる空間であること

生徒が塾に通い続けるためには、居心地の良い環境が不可欠です。

「家では勉強できない」という子供が増えていますが、誘惑の多いスマホやゲーム、整理整頓されていない勉強部屋等、勉強するにはあまり良くない環境だから勉強できないという子供の理屈にも一理あります。

大人が仕事環境を重視するのと同じです。

居心地がよい空間とは、清潔で整理整頓された教室環境、明るく前向きな雰囲気、生徒同士の良好な人間関係などが含まれます。

よく見過ごされがちですが、「先生がほめてくれる環境」が居心地の良さを感じさせてくれます。

ある塾では、家で勉強しないことを前提に、塾に毎日通い放題という仕組みを取り入れ、宿題や演習ができる度に「すげぇ!」「イェーイ!」と先生がハイタッチしながら褒める指導を取り入れたところ、学校成績の自己ベストを更新した生徒が8割になったということがありました。

家で勉強しないから親に怒られる→勉強しないから成績が上がらない→成績が上がらないから塾でたくさん指導される→勉強がつまらない、といった悪循環を子供たちは実感しています。

毎日塾に来て先生がほめてくれる環境は、そういった子供たちからすれば次のように感じます。

毎日塾に来ると勉強できる→塾で勉強すると先生がほめてくれる→先生がほめてくれるとやる気が出る→もっとがんばったらさらに先生がほめてくれた→学校の成績が上がった→勉強が楽しくなった、という好循環が生まれます。

さらに、教室の先生も楽しくなります。生徒を喜ばせ、笑顔をたくさん作り、成績も上がる。そんな教室で指導できる先生は幸せです。結果として、先生も笑顔になり、教室全体の雰囲気が良くなります。

これらの要素を理解し、自塾の運営に積極的に取り組むことで、地域での存在感を高め、選ばれる塾へと変化させることができるでしょう。

>>塾の集客に紹介・口コミは欠かせない!在校生からの紹介が増えない理由とは?

こんな塾は避けられる!回避すべき3つの問題

教育市場において、学習塾は生徒と保護者にとって重要な選択肢の一つです。

しかし、教育の質や指導方法、環境などの面で問題を抱える塾は、避けられがちです。

保護者から避けられる塾の特徴は、次の3点です。

  1. 雰囲気が悪い
  2. 環境が清潔でない
  3. 過度に押しつけがましい

それぞれの問題について詳細に分析し、改善策を探ることが、塾の成功に不可欠です。

問題① 塾の雰囲気が悪い

ある大手塾の経営者に「実績の悪い教室の共通点は何ですか?」と聞いたところ、「先生の笑顔が少ない教室」と即答されました。

教室に入った瞬間にわかるそうです。

常に笑顔にすれば実績が上がると言っているわけではありません。笑顔になる仕事環境が重要になります。

職場の整理整頓ができておらず、机の上は書類の山で、必要な情報がすぐに出てこないのでストレスがたまるといったことも先生の笑顔を減らします。また、業務の優先順位やタスク管理ができていないために、保護者からのクレームが増えることも笑顔を減らすでしょう。

このように、先生の笑顔が少ないということは、単に先生同士の人間関係を指しているわけではなく、笑顔を少なくさせている仕事環境に原因があり、結果として業績悪化につながります。

また、先生同士の人間関係だけでなく、先生と生徒間の人間関係が構築できていないと教室の雰囲気が悪くなります。

教室に入った時に生徒が挨拶しない、生徒が質問や相談に来ない、欠席が多い等、教室の雰囲気が暗くなる要因はたくさんあります。

原因は、前述した先生と生徒との間に信頼関係が構築できていないことにあります。

生徒とのコミュニケーション量を増やすことから始めるだけで、教室に活気が生まれ、教室の雰囲気もよくなります。

そういったことができていない教室の空気は、保護者が敏感に感じ取りますから、避けるべき塾として認識されます。

問題② 塾の環境が清潔でない

清潔で整頓された環境は、生徒の学習意欲を高める重要な要素です。

ある塾の経営者がこんなことを話してました。「生徒が勉強ができるかどうかは、最初の面談に来た時にすぐわかる。できる生徒は、テキストやノートをきちんと揃えて机に置くし、ノートの取り方もきれい。できない生徒は、整理ができていない子が多い。」

これは塾側にも当てはまります。

教室やトイレが汚いというのは論外ですが、教室の本棚にある参考書がきちんと並んでいない、机の上には消しゴムのカスが残っている、ホワイトボードにいつまでも板書内容が残っている、先生の服装がだらしない、といった教室環境では、生徒も気が緩みます。

ある塾では、塾の行動規範を「空気の教育」という言葉で管理していました。塾に来た生徒が挨拶しない、玄関の靴が乱雑に脱ぎ捨てられている、元気よく返事しない等、教室の緩んだ空気が業績を悪化させるというものです。

教室の玄関を開けるとピリッとした空気が流れているか、勉強をする空気が流れているか、それを感じさせる教室かどうか、が業績を左右するそうです。

教室内がいつもピカピカでゴミ一つ落ちていない、だから机の上に消しゴムカスも残しづらい、先生もいつもビシッとした清潔感あふれる服装だから自分もちゃんとしなきゃ、という空気が流れているかどうか、教室環境を常にチェックしないといけません。

日常的な清掃と定期的な大掃除を徹底し、教材や教具の整理整頓にも注意を払うことが必要です。

さらに、清潔な環境は生徒の集中力を向上させ、学習成果の向上にも寄与します。

塾の運営者は、清掃スタッフの確保や清掃スケジュールの管理を徹底することで、塾の教室環境向上に努めないといけません。

問題③ 過度に押しつけがましい

教育の場としての塾は、生徒に知識や学習スキルを提供することが主な目的ですが、それが過度になると、生徒の自主性や創造性を抑制することになります。

講師が一方的な教育方法に固執し、生徒の意見や学習スタイルに聞く耳を持たないでいると、生徒の興味や意欲を損なう原因になります。

この問題に対処するためには、講師が生徒の意見を尊重し、個々の学習スタイルに合わせた柔軟な指導を行うことが重要です。

また、生徒が自ら学び、考える機会を提供することで、自主的な学習意欲を育てることができます。

以上の3つの問題点は、塾が避けられる原因となる重要な要素です。

これらの問題に対処し、改善することで、塾はより魅力的な学習環境を提供できるようになります。

塾の雰囲気を改善し、環境を整え、押しつけがましい態度を見直すことで、生徒や保護者からの信頼を獲得し、教育市場における競争力を高めることにつながります。

教育機関としての責任を果たし、生徒の成長と学習意欲の向上に貢献するために、これらの点を常に意識し、改善に努めることが重要です。

>>塾の運営業務とは?講師とは違った面白さの運営・管理業務を紹介

選ばれる塾になるために今すぐ現状を見直そう

現在、生徒が集まりにくかったり、退塾者数が増えている状況であれば、選ばれる塾になるためには、現状の見直しが必要です。

また、生徒数が順調に増加している場合でも、状況は一瞬で変わる可能性があります。

塾の特性として、積み上げるのには時間がかかりますが、状況が急変するのは早いものです。

現状を見直す際のポイントは以下の3つです。

  1. 成績下降に対する迅速なフォロー
  2. 口コミでの問い合わせへの対応
  3. 面談のマンネリ化防止

これら以外にも考慮すべき点はありますが、まずは現状でできていることとできていないことを客観的に把握することが重要です。

成績情報を活用して成績下降生徒を確実にフォローする

成績が下降した生徒への迅速なフォローは、退塾を防ぐ上で欠かせません。

しかし、これは退塾防止だけでなく、生徒や保護者の満足度向上にも繋がります。

日々、生徒の成績をしっかりと把握し、定期テストの結果を受けて迅速に対応することが大切です。

多くの学校では答案と平均点が同時に発表されるため、全教科の結果が出るのを待つ必要はありません。

1教科でも成績の変動には敏感に対応しましょう。

そして、答案の見直し、誤答の原因探求、次のテストへの方向性の示唆などを行います。

このスピードが早ければ早いほど、生徒や保護者からの信頼につながります。

口コミで問い合わせる保護者には期待を超える応対を

口コミでの問い合わせは、入塾の可能性が高いケースです。

だからこそ、期待を超える対応を目指すべきです。

「あの塾は評判がいいよ」という口コミで来塾される場合、当然ですが、最初から塾への期待値が高くなっています。

にもかかわらず、普通の対応をしてしまうと「評判がいいと聞いたから面談に行ったけど、大したことなかった」と評価を下げることになってしまいます。

期待以上の対応ができれば、その保護者や生徒が新たな口コミを生む可能性が高まります。

保護者の期待以上の対応とはどんなものかを、教室の先生とよく話し合い、共通理解を得て準備することが重要です。

前述した清潔な教室環境はもちろんですが、先生の笑顔あふれる雰囲気の中にも、保護者の意見をよく聞く姿勢、厳しいことも指摘する姿勢、生徒に迎合しない姿勢、といった姿勢が保護者の期待値を上回ります。

サービス業として、わざわざ塾に(お店に)足を運んでお客様課題を聞かせていただいたお礼の気持ちとして、帰り際に小さなお茶菓子をプレゼントするのもいいでしょう。

年間何十万も塾代として支払っていただくのですから、面談時の資料もペラペラした紙束でなく、提案資料を挟みこむプラスチックカバー付きの資料を用意し、記入していただく際のペンも、重くて高級感あふれるものを置いておく等、きめ細かいところに目を行き届かせている姿勢にも、保護者の期待値が高まります。

塾業界は内部での評価が高くても、外部に広がりにくい特性があります。

口コミから問い合わせてきた保護者には誠実な対応を心がけ、塾の良さを伝える努力をしましょう。

生徒面談・保護者面談のマンネリ化を防ぐ

年に数回行われる生徒面談や保護者面談では、講師の力量が問われます。

ただし、この面談がマンネリ化してしまうと、生徒や保護者の満足度は低下します。

面談の進め方を定期的に見直し、新鮮さを保ちましょう。

具体的には、過去の面談での話題や質問を記録し、次回は異なるアプローチを試すことが重要です。

同じことや同じアドバイスを何度も言わないと意識することが大切です。面談記録を毎回残すのは面倒ですが、前回何を保護者に話したのかを謙虚に把握し、毎回違う話ができるよう心がけましょう。

面談に来てもいつも同じ話というのでは、面談参加率も低下します。

また、教育業界のトレンドや新しい学習方法の情報を取り入れ、面談時に共有することで関心を引くことも重要です。

特に、世の中の変化や、日本社会が今後どうなっていくのかといった、マクロ的な視点を提案できるようになると説得力が増します。

「だから○○大学で○○を学ぶのはお子様に合っているように思えます。そのためには、○○高校で常に〇番以内にいないといけませんから、今はこのような勉強が必要です。」と俯瞰的に話すことができれば、保護者も納得いく面談ができるでしょう。

保護者や生徒の興味を引きつけ、彼らの期待に応えることができれば、塾への満足度と信頼感を高めることができます。

>>重要!塾内でのコミュニケーションの大切さ

まとめ

選ばれる塾には、相応の努力と時間が必要です。

しかし、築き上げたものが崩れてしまうのは一瞬です。

日頃から自らの行動や教室の状態を振り返り、適切な対処をしなければなりません。

生徒の成績を上げる以外にも、大切なことがたくさんあるのです。

しかし、難しく考える必要はありません。

やはり根幹にあるのは、生徒一人ひとりを大切にする気持ちです。

大切にするからこそ、居心地のよさ、わかりやすい授業と徹底的なサポートが生まれ、それらが実績へと繋がります。

雰囲気づくりや環境整備、おしつけがましさの排除も同様です。

さらにプラスして、対保護者への意識があるとなお良くなります。

現状でできている内容はさらに上のレベルを目指し、できていない部分は改善をして、選ばれる塾へと変えていきましょう。

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