大手塾から個人塾まで、多くの塾が乱立する時代になりました。
少子化が進む中で、募集がうまくいかない塾も多くあるのではないでしょうか。
募集が集まらないのには必ず理由があります。
塾のシステムや授業、環境等の見直しも必要ですが、やはり効果的な募集方法を行わなければ結果は変わりません。
しかし、塾業界の広告宣伝は、伝統的に新聞折込チラシから始まり、校門配布やポスティング、DM、ホームページが広告宣伝の主流となっています。
ブログやSNSによる集客に関心があっても、なかなか取り組めていない状況にある業界と言えます。
今回は生徒を集めることの意義、これまでの方法で集まりにくい理由、そして、新たな募集獲得方法についてご紹介します。
少子化だからこそ生徒募集が死活問題
厚生労働省によると、2022年の出生数は7年連続で減少し、77万747人となり、初めて80万人を割り込みました。これは、学習塾業界が全盛期の1980年前後の約半分の数となっています。
全盛期に比べ、市場が約半分になっているのです。
いい教育をしていれば生徒が集まる時代はとっくに過ぎ去り、生徒募集に力を入れないと市場で生き残れない時代です。
総務省「経済センサス活動調査」には、学習塾業界の事業所数推移だけでなく、廃業した事業所の数も報告されています。それによると、
2012年 8,727事業所
2016年 9,639事業所
2021年 17,568事業所
となっており、廃業している学習塾の事業所(教室)が激増していることがわかります。
子どもの数が減少しているのは今に始まったことではなく、少子化時代でも生徒を増やしている塾は全国にたくさんあります。
学習塾の集客を考える時、多くは「先生の視点」で集客を考えがちです。いい授業をすれば生徒が集まるという考えがその典型です。
これからは、実際にお金を払う「保護者の視点」で集客を考えていかなければいけません。
そのポイントとして、
- 求められている授業の多様化に気づく
- 保護者目線で集客する
が重要になりますので、まず上記2点についてご紹介します。
求められている授業の多様化に気づく
同じ年齢の子どもが教室に集まり、その子ども達に先生が同じ内容を一斉に教えるという授業は、産業革命以降、200年間続いています。
学習塾業界では、そういった集団指導型から個別指導型への転換が起き、現在では業界の半数が個別指導型に変化しています。自立指導型も出現していますが、割合としてはまだ少ないです。
つまり、授業としては、先生が「多くの生徒に教えるか」「一人の生徒に教えるか」の違いしかありません。
入試が激化すると、学校授業の復習をする補習型ではだめで、学校授業の先取りをする進学塾でないと生き残れないとも言われました。
これは、一発勝負の入試で合格を勝ち取る、という共通の目標があったから成り立ちます。
しかしそのような目標は、現在では半数の生徒にしか通用しない時代になっているのです。
文科省の調査によれば、大学入試の一般入試の割合は50%に過ぎず、学校推薦型が約30%、総合型選抜が約20%となっています。つまり、一発勝負の入試で合格を勝ち取るという目標は、半分以下の生徒にしか求められなくなっているのです。
当然、授業に求められる中身も変化してきます。入試の時期に向けて学力を上げる授業だけでなく、学校の通知表で4をとる授業、自分の強みをアピールできるようになる授業、様々な視点で小論文を書ける授業のニーズが半分以上になってくる時代です。
さらに、「タイパ」(時間効率)を求める若者の気質の変化も影響してくるでしょう。ライブの授業より映像授業を倍速で必要な箇所だけ見れたらいいという生徒も増えているはずです。わからないところだけ知ることができたらいいのに、集団指導形態では全部の説明があって時間がもったいないと考える生徒もいるでしょう。
このように、求められている授業のニーズが変化していると考えるところからスタートした方が健全です。しかも、多様化しているのです。
総合型選抜で大学に行ければいいと考える保護者に、一般入試の授業の集客を行っても反応がないのは当然です。
高校入試も少子化の影響を受け、多くの地域で入試倍率が1倍を切るようになってきています。高望みしなければ、塾に行かなくても高校に合格できるのです。
一方、トップ高を目指すのであれば、「思考力・判断力・表現力」が問われる難易度の高い問題が解けないといけませんから、その力を養う授業に力を入れている塾のニーズは高まります。
要するに、どのニーズの授業に力を入れている塾なのかを定義し、その授業を求めている家庭をターゲットに集客していかないといけません。
求められる授業が多様化していることに気づくことが、集客を考える上で重要になります。
保護者目線で集客する
塾探しを検討している保護者の視点からすると、我が子に合った塾を探すのは本当に難しいものです。
一番の理由は、「塾の中身が外から見えない」ことにあります。
保護者が塾探しをする時、昔と違ってホームページを検索することから始めます。
自宅近くにある塾の名前は知っていますから、塾の名前を直接検索窓に入力して検索する”指名検索”が普通です。したがって、地域に塾の名前を知ってもらう集客ツール(野立て看板等)は必須と言えます。
問題は、指名検索でお目当ての塾のホームページにたどり着けても、保護者が欲しい情報が圧倒的に少ないことです。
どのホームページも、塾の方針があって、コース紹介があって、先生の顔写真と「一人ひとり丁寧に温かい指導を心掛けています」というメッセージが掲載されているページです。
しかし、保護者が欲しいのは、入塾すると我が子はどんな日々を塾で過ごすのだろうか、志望校に合格できる指導を本当にしてくれるのか、といった「塾の日常がわかる情報」です。
保護者からすれば、家で勉強しなさいと言ってもゲームばかりして言うことを聞かない、やっているフリだけしてちっとも腰を入れて勉強しない、成績が悪くても切迫感がない、といった日々を我が子と過ごしています。
「そんな我が子に合う塾はどこにあるのかな」という視点が保護者目線です。合格実績だけ並べてあっても、その要望に応えられません。
集客を考える場合、保護者目線で、そのような具体的な内容や塾での様子がよくわかる情報をアピールしていかないといけません。
>>理想の塾の集客方法は?媒体を組み合わせた効果的な生徒の集め方
これまでの方法だけでは生徒を集めにくい
多様化するニーズと塾の乱立により、これまでの方法だけでは募集が頭打ちになるケースが多くなってきています。
- チラシ配りやポスティングの限界
- チラシはほとんど見られない
特にこの2点が原因として考えられます。
その理由と背景について説明します。
チラシ配りやポスティングでは顕在客だけしか集まらない(ニーズが顕在化)
チラシやポスティングは、思っている以上に効果が上がらないものです。
これらを行っても、入塾を検討している家庭、つまり「今すぐ客」からしか集客は見込めません。
- 志望校に合格したい
- 勉強についていけない
- 成績を上げたい(成績が下がった)
入塾を検討する理由は、この3つの理由が圧倒的に多いです。
つまり、塾探しを始めた時点で、ニーズが顕在化しているのです。
ニーズが顕在化しているのに何もしていないことは少ないと思います。
既にホームページを検索して説明会に申し込んでいたり、ママ友からの口コミで塾を決めようとしています。
そのタイミングにぴったり合致した時に、チラシ配りやポスティングで広告を目にするかどうかですので、必然的に問合せ数は下がります。
もちろん、地域の家に停めてある自転車の大きさで子どもの年齢を推し量ったり、学校の通学路でターゲットとしている年齢の生徒が通う時間帯にチラシ配りをしたりする努力で、問合せ数を高められることもあります。
いずれにせよ、費用対効果で考えると、効率の悪さは否めません。
地域を知り尽くしている塾には合っている募集方法です。
ほとんどのチラシが見られる前に捨てられる
手間ひまかけて作ったチラシ、一生懸命配布したチラシであるほど愛着も生まれます。
しかしそこに判断を鈍らせる要素が潜んでいます。
すなわち、こんなに丁寧に作ったチラシだから見てくれるだろう、という過大評価の心理です。
塾の先生も改めて考えていただきたいのですが、自宅に他業界の広告チラシが入ったとして、じっくり読んでいますか?
よほど興味があった商品以外は、ほとんど見ずに捨ててしまうと思います。
広告やチラシ配布から募集を見込む方法は間違っているとは言えません。
ですが、塾にとっての生命線はやはり口コミなのです。
顕在客の多くは、塾の情報収集を行っています。
そのほとんどが、近隣の友人、保護者間での口コミです。
次に、ネットでの情報収集でしょう。
チラシはあくまで、入塾を促す最後の一押しのツールです。
「そろそろ塾に入ろうかな」
となった時点で、どの塾に入るかはほとんど決まっているケースが多いです。
入ろうと思っている方が、チラシを見てそのまま入塾、という流れはあり得るでしょう。
チラシを見たら良さそうに感じてその塾を検討することもあるでしょう。
しかし、検討もしていないのに、チラシを見ていきなり入塾する例はほとんどありません。
したがって、チラシで効果を発揮するためには、その前に口コミが発生するよう、日頃の塾内での指導の充実や保護者満足度の向上を高める努力が必要です。いわゆる「インサイドアウト」「内部充実」がチラシ募集の前提となります。
仮にチラシで勝負をするのであれば、現代は文字を読まない習慣にシフトしているため、塾の方針や様子がよくわかる写真が多い方が効果的です。
インスタが文字ではなく写真の羅列で人気を博しているイメージです。そのチラシにQRコードのリンクを貼って、ホームページやインスタや動画でより詳しく様子を紹介するメディアミックスの方法が良いでしょう。
塾の認知度を拡げることが目的であれば、塾のイメージカラーでチラシで使う色を統一することも忘れてはなりません。
>>塾の生徒が集まらない理由は?効果のある生徒の集め方・増やし方
さまざまな媒体を使って塾へ生徒を集める
外部に自塾の良さを発信する方法は、チラシや塾生の口コミだけではありません。
- SNSを活用する
- ブログで情報を発信する
効果的な手段としては、上記2つがあります。
工夫をすれば、これまで以上の成果に繋がるものなので、ぜひ参考にしてください。
Facebook・Twitter・InstagramなどSNSを上手に使う
生徒・保護者を問わず、SNSの利用は全世代に広がっています。
総務省「令和4年通信利用動向調査」によると、SNSの利用目的が世代別に示されています。学習塾の対象となる、小中学生世代、その親の世代に限って利用目的を紹介すると次のようになります。
中学~高校世代の13歳から19歳の世代でみると、「知りたいことについて情報を探すため」にSNSを利用している割合は67.5%と、実に約7割のユーザがその目的でSNSを活用しています。
その親の世代、30歳から39歳、40歳から49歳の世代でみると、72.5%、67.7%となっており、親の世代も約7割が、情報を探す目的でSNSを活用しています。
SNSと言えば、仲間との近況報告の手段と思われがちですが、意外と情報検索ツールとしての活用が多いことがわかります。
若い世代にはInstagramが圧倒的に人気ですが、年齢層によっては旧TwitterやFecebookも狙い目です。
- 短い時間で済ませられる
- 画像と一言コメントでOK
- 更新頻度を上げられる
チラシと違い、こうした利点がSNSにありますので、塾の雰囲気の良さをアピールできます。
もちろん、雰囲気だけでなく、テスト対策や質問対応、成績アップ情報なども積極的に発信し、自塾のいいところを広めましょう。
SNSは顧客の目に何気なく留まるので、チラシよりも効果が狙えます。
ぜひ実践してください。
ブログを使って有意義な情報を発信し続ける
ブログは有力な集客ツールであり、ターゲットとなる家庭を集めたい場合には最も有力なツールです。
ブログと同じ情報量をチラシで伝えようとすれば、どれだけ宣伝広告費がかかるかわかりません。
前述した、保護者が求める「塾の日常がわかる情報」を伝えるには、最も適しています。
ある塾では、保護者面談期間が終わる度に、塾長が感じたことをブログで発信しています。中には「こんな保護者の子どもは成績が上がらない」といった、少しきつめの内容をブログに書き綴り、さらにYouTubeの動画にして、自塾のホームページで紹介しています。
すると、「ブログで先生が言われていたのはまさに私だと思いました」と言って、保護者が入塾面談に訪れることが増えてくるそうです。
また、予めそのような内容をブログで発信しておくことで、逆に「入塾して欲しくない家庭」を絞ることができます。よく「狙った層と違う層が入塾してきて困る」という悩みを聞きますが、そういったことを防ぐ意味でも、ブログの活用は効果があります。
メッセージ性の高いブログは読者の心をひきつけます。
塾で教えている先生はどんな先生か、日頃どんな付き合いを生徒や保護者としているか、どんな考えで指導しているのか等、日常をそのまま情報として伝えることができれば、そのメッセージで救われる人も出てくるはずです。
地域の方の目に留まれば、入塾にも繋がります。
自塾の良さを発信し、塾の魅力を多くの人に伝える。
そのために、ブログは一番適した方法と言えます。
>>低予算で塾の生徒を増やす方法とは?SNSやブログを最大限活用しよう
塾の生徒を集める方法 まとめ
少子化が進む中で、塾を取り巻く環境も大きく変化してきました。
これからの時代を生き抜くためには、集客は欠かせない活動です。
求められる授業ニーズが変化していること、先生目線ではなく保護者目線で考えること、チラシ以外のSNSやブログの活用に積極的に取り組むこと、が重要です。
何より、「ここにこんな塾がいるよ!」と情報発信し続けることが大切です。
集客で悩んでいる講師の方や教室長、管理者の方は、ぜひ参考にしてください。
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