理念の重要性

コラム

生徒数の増減を左右する3つ目は「理念」です。

塾の理念は継続的成長には不可欠

残念ながら閉塾となった塾の共通項として、理念が組織に浸透されていない、または理念が軽視されていたというケースをたくさん見てきました。一方、中長期的に生徒を増やし、発展し続けていく塾は、理念を組織に浸透させることに心血を注いでいるのが特徴です。それぐらい理念は重要だと感じています。

理念があることで、数ある教室運営業務の内、どの業務が一番重要で、自塾らしさを維持できるのかが決まります。それが決まることで、地域にも特徴が伝わり、”尖った塾”として口コミの源泉にもなります。

例えば、「困難に負けず、自立した生徒に育てる」という教育理念があるとします。ある日、若い先生が室長にこう訴えかけてきました。「室長、あの子は習い事や部活で忙しく、これ以上宿題を出すとかわいそうです」。この時の室長の対応は、理念で決まります。「それはかわいそうだね。宿題は出さないでおこう」という判断は間違っています。なぜなら、困難に負けない生徒を育てることが塾の使命だからです。「それでも宿題は出す。忙しくて泣きそうになるだろう。その困難さをどうやって乗り越えるのか、先生もサポートしてほしい」と言わなければいけません。そして保護者にも連絡し、困難に負けない子になるよう、塾も寄り添って全力で支援すると伝え、信頼を得なければなりません。そうすると地域でも、「あの塾は厳しい塾だから、自分でできる子に育てたいのなら向いていると思う」との評判を得ることができ、「困難に負けず、自立した生徒に育てる」という地域に伝えたいメッセージが浸透し、それが塾のブランドになります。

このように、教室内の実務は、理念に基づいて設計されていることが大事です。閉塾となった塾では、「それはそうですが、私の理念としては・・」と各先生が自分の教育観を主張するケースが多くありました。当然指導内容や授業方針がバラバラになりますので、組織は崩壊していきます。地域でも尖ったメッセージが届きませんので、特徴のない塾として候補から外れていきます。

とは言え、入塾が減ったり、退塾が増えたりして生徒数が減少するときもあるでしょう。その時も理念に基づいた業務設計がされていれば、どこがうまく稼働していないのか、どこに問題があるのかが掴みやすくなります。ある塾では、受講単価が落ち、年度継続率も下がっている教室がありました。マネージャーがその教室に訪問すると、生徒が来校したときにきちんと挨拶をさせていないことがわかりました。生徒が来校しても先生はPCに向かったままです。そこでマネージャーは教室長に「挨拶をさせてないから継続率が下がるんだ」と指導しました。するとその教室長は「挨拶と継続率に何の関係があるんですか?」と抵抗してきます。そのマネージャーは、「普段から挨拶の大切さを生徒に指導している先生が挨拶しなければ、面談の場で5科目受講の必要性を訴えようが継続学習の重要性を訴えようが、生徒は先生をなめてかかって聞く耳を持たなくなるだろう」と説明し、その教室長を納得させました。何かうまくいかない問題が起きたときに理念に立ち戻って検証することができれば、現場で働くスタッフも動きやすくなります。

理念といえば、どこか額縁に飾ってあるもののようなイメージがありますが、とんでもありません。一番重要で、継続的に発展していくためには、絶対に欠かせない、必要不可欠なものだと言えます。

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