どのような企業でも、企業内のコンフリクト・対立は少なからず起きています。
職員1人1人の責任意識が高かったり、部門間の利益などが対立することで起きてしまうのです。
コンフリクトは企業内で競争心や緊張感を保つためのメリットもありますが、対立が大きくなるとデメリットも多くなります。
そのため、行き過ぎたコンフリクトや対立は未然に防止しなければなりません。
そこで今回は、コンフリクト・対立の防止のための状況共有の仕組み化の必要性についてご紹介します。
コンフリクト・対立の考え方や解決するために必要なこと、システム化による情報共有のポイントについてお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
組織が大きくなるほどコンフリクト・対立は増える
企業活動を行う上で、企業内のコンフリクト・対立は避けては通れません。
デメリットもありますが、メリットもあるため、一概に悪いと言えるものではありませんが、コンフリクト・対立により企業活動に支障をきたしてしまっては元も子もないです。
無駄なコンフリクト・対立を解消するためには、まずは起きてしまう原因を突き止めましょう。
コンフリクトや対立への考え方としては、下記の2点があります。
- 所属部門の利益を優先するのは自然なこと
- 会社の理念や方向性が浸透していないと起きやすい
コンフリクトにより企業をよりいい方向へ進ませるために、この2点は抑えておきましょう。
所属する部門の利益を優先するのは自然なこと
所属する部門ごとに、業務内容も違えば、違うやり方を好む場合は多いです。
教材開発部と教務部を例に挙げて考えてみましょう。
教材開発部は日頃から、定期テストや入試など、様々な問題に目を通し、教材に反映させていきます。
一方、教務部は現場での生徒への指導がメインです。
もちろん、指導のためには学力、知識が必要になるため、教材開発部と同じように問題には目を通しているでしょう。
しかし知識量では教材開発部が高く、現場指導力は教務部が高いという状態となります。
ここで、コンフリクト・対立が生まれます。
- 教材が「現場で指導しづらい」と教務部が感じる
- 問題の配列の意図をくみ取って指導してくれないと教材開発部が感じる
どちらも最善を尽くしているはずなのに、双方で意見が分かれてしまうのです。
自らの仕事にプライドを持っているからこそ起きてしまうのでしょう。
所属する部門のやり方、利益を中心に考えてしまうのはおかしいことではありません。
誰もが、所属する部門が正しいと思って行動しているのです。
大切なのはそれぞれが利益を優先する中で、どうまとめるか。
ここが経営者の腕の見せ所なのです。
対立が生じるのは、会社の理念や方向性が浸透していないことが多い。
対立が生まれてしまう原因には、会社の理念や方向性が浸透していない場合は非常に多いです。
特に、各教科・課・各教室では、同じ塾でも全く違う場合は多くあります。
例えば、教科や課で言えば教え方です。
- 本質から理解させようとする
- 暗記メインでとにかく覚えさせる
- ひたすら演習ばかりをやらせる
など、教え方にも様々なものがあります。
成績を上げるためにはどれも必要ですが、教科によってばらつきが出てしまうのも事実です。
また、教室ごとでも、以下の3点。
- 欠席者、遅刻者への対応
- 家庭学習管理
- 生徒や保護者への対応
このようなことが同じように行われていないケースも多くあります。
これらは会社の理念、方向性への理解度が大きく関わっているのです。
塾長の意思を正確に汲み取り、塾長への理解度が高ければ避けられます。
これらの各教科、教室の違いは報告としても上がってきにくいため、透明性のある組織づくりもしなければなりません。
そのため、経営者は幹部だけでなく、全ての職員ともコミュニケーションを密に取り、問題の早期発見に努める必要があります。
コンフリクト・対立を解決するために必要なこと
コンフリクトや対立は、どのような手段を用いてもゼロにはなりません。
むしろこれらを避けることで、企業としての秩序を保てなくなる恐れもあります。
そのため、大切になるのは、コンフリクトや対立をどのように解決し、逆に活用していくかです。
解決するために必要なこととしては、
- 定期的なミーティングの実施
- 人材交流
- 情報の共有化
の3つがあります。
①定期的なミーティングの実施
まずは話し合いの場を設けることが、コンフリクトや対立の解消に欠かせないのは誰にでも想像できるでしょう。
ですから企業の方向性を決めるための定期的なミーティングが必要です。
しかし、だらだらミーティングをしていては意味を持たないことも事実。
そのため、ミーティングは長時間ではなく、テーマを決めて短時間で終わらせられるようにしてください。
議題としては、以下の3つがあります。
- 部門ごとの課題、問題点
- ケーススタディ
- 方向性の示唆、命令を受けて、具体的にどう動くか
部門ごとにやり方や考え方が違うため、それぞれの意見を出し合い、すり合わせていきましょう。
前もって議題を提示すると、各々が考える時間も確保されるため、効率が上がります。
②人材交流
社内外問わず、人材交流の場を設けることも、コンフリクト・対立を解決するために効果的です。
塾は閉鎖的な環境になりがちな職業なので、外部からの刺激はよい変化となります。
新しい価値観や未知の考え、技術に触れるために、積極的に外部の人材との交流を図りましょう。
また、社内交流も非常に必要です。
同じ部門の同じ人間とだけ話していても、何も生まれません。
それぞれの部門には別々の考え方があります。
これらに触れることで、新しい何かが生み出されることもあるのです。
さらに、他の部門の大変さを知ることで、協力体制も生まれるでしょう。
人材交流は手軽にできるため、社内外での積極的な交流は低コストかつ効果的です。
③情報の共有化
コンフリクトや対立が起きるのは、情報の共有がされていないケースも多いです。
ある部門で動いていることが、他の部門に知らされていなかったり、把握されていなかったりするケースは多くあります。
- 会社が何に向かって取り組んでいるか
- 別の部門で何をやっているのか
- どういった問題が社内で起きているのか
これらを全社員が共有できるのが理想です。
しかし、なかなかうまくはいかないのも事実。
そのため、まずは中心となる部長や役職者が情報共有できる状態を作り上げましょう。
中心人物が情報を共有することで、課員にも浸透しやすくなります。
トップダウンではありませんが、経営者だけで隅々まで情報を伝えることには限界があるのです。
責任者を通じて、企業の理念や方向性、情報の共有化を図りましょう。
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システム化による情報共有でコンフリクト・対立を解消
大規模な組織ではもちろんですが、中小規模の組織でも情報共有がうまくできないケースは多いです。
情報共有のためには、伝える時間と場所を確保しなければなりません。
そこで必要になるのがシステム化です。
システム化を推し進めることで、
- 情報をオープンにする
- コミュニケーションを活発化させ、部門間の理解を深める
の2つを促進させましょう。
時間がないからできないではなく、いかに情報共有の場を設けるかがポイントです。
電話やメール、文書での通達ではなく、システムによりスピーディーな情報共有を行える体制を整えましょう。
システム化で情報をオープンにする
システム化最大のメリットは、情報がオープン化することです。
いつでも誰でも閲覧できる情報になるため、共有化が用意となります。
特に役職者の方は日頃から業務や職員管理、生徒対応に追われる立場にあるため、情報共有のためのミーティングや会議に時間を割けられません。
また、職員への共有も、朝礼などで行うと長時間かかってしまうため効率的とは言えず、結果的に業務時間を奪うことにも繋がります。
職員が「朝礼長くて嫌」「時間がないのに」という気持ちで朝礼を受けていては、どれだけ素晴らしい話をしても効果はありません。
もちろん、システム化をしても情報が届かない職員は一定数いるので、特に重要な事項は責任者から口頭でも伝達するなど、二重での通知を行います。
コミュニケーションを活発化させて部門間の理解を深める
システム化により、情報共有が進むと、コミュニケーションも活発化します。
掲示板等で情報共有し、興味関心を持った者同士でコミュニケーションを図るはずです。
企業として何に取り組んでいるか明確になりますし、部門間での状況把握もできるでしょう。
大切なのは、他部門の意図を上手に汲み取り、所属する部門でどう連携を取るかです。
一人で会社を回しているわけではないため、他との連携は組織においては必須になります。
部門間の相互理解ができるようになれば、余計なコンフリクトや対立は起きにくくなるでしょう。
日本人は互いに理解し合える心を、これまでの教育の中で育まれてきています。
理解しようとするためには、まずは事実が情報として入ってこなければなりません。
日本人の良い心を上手に活用するためにも、システム化による情報共有は欠かせないと言えるでしょう。
>>学習塾にIT化が不可欠な理由とは?遅れるほど差がつくIT化
まとめ
コンフリクトや対立は、組織の中ではいつ起こってもおかしくないものです。
しかし、過度なコンフリクトや対立は企業の弱体化にも繋がるため、早期発見、早期解決が基本だと言えるでしょう。
対立による退職や独立開業は企業にとってもダメージが大きいですよね。
そのため、情報共有をシステム化し、部門ごとの理解を深め、連係しやすい体制を整えなければなりません。
- 大きな組織で合意形成を迅速に行うための機会増
- がんばっている人材の活躍を見える化する仕組み
- 教室長を孤立化させない支援
以上の3つがポイントです。
大きな組織で合意形成を迅速に行うための機会増(毎月の会議では遅い)
企業規模が大きくなればなるほど、理念や方針のズレは起きやすくなります。
俗に呼ばれる伝言ゲームのようなもので、トップの指示がどこかで捻じ曲げられて伝わってしまうのです。
これは、伝える役職者が悪いと一概には言えません。
そのポジションにいるということは、それなりに組織から評価を受け、社の理解度が高いと認知されているからです。
このようなズレをなくすためには、毎月の定例会議だけでは間に合いません。
日頃から状況や方針の共有をしていなければ、小さなほころびも大きなものになり、取り返しがつかなくなるでしょう。
ポイントは回数です。
生徒への指導と同じで、1回伝えて終わりではなく、何度も何度も伝えられる環境を整えましょう。
メモを見て分かる、言われて思い出す、考えてできるではなく、無意識レベルまで引き上げなければなりません。
無意識でできれば、完全に理解しているわけですから。
ここまで引き上げるには、回数が必要です。
そのため、合意形成を迅速に行うために、システム化により情報共有の回数を増やしていきましょう。
がんばっている人材の活躍を見える化する仕組み
どの業種でも同じですが、がんばっているのにアピールが苦手な人は一定数いるものです。
そのため、上司や役職者、経営者に努力が伝わらず、評価を得られず苦しむ方は非常に増えています。
結果よりもアピールが得意な人が、高い評価を得ているケースはとても多いです。
そうなるとがんばっている職員は自分を追い込んでしまい以下のように追い込まれてしまう恐れもあります。
- モチベーションの低下
- 退職
- 精神疾患を患う
仕組み化と見える化により、公平・公正な評価基準を設けることが、職員を救うことに繋がるのです。
教室長を孤立化させない支援
大きな組織ほど、情報共有が難しく、それぞれの部門や教室でコンフリクトや対立が起きやすいです。
企業はいかに利益を上げていくか、が重要です。
教室長はその責任を全うしなければなりませんが、すべて押し付けるだけではいけません。
組織としてはもちろん、他の教室との連携を深め、企業として同じ方向を向いて現場に取り組むことが必要です。
教室長を孤立させないためにも、情報共有の仕組み化を進め、組織で戦う体制を整えましょう。
そして適度なコンフリクトで競争心と緊張感を保ちながら、強力な組織文化を作り上げることが企業を伸ばすための王道です。
職員の力を最大限引き出すためにも、オープンな情報共有ができる環境を整えていきましょう。
>>コンフリクトの解消に欠かせない塾業務のシステム化について
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