一般的に勉強や学習のために、大切なのは「アウトプット」だと言われています。
しかし日本国内では、過去からの慣習のためかどうしても「インプット」ばかりに重きが置かれる傾向にあるのが実状。
こうした問題を解決し、子供たちが効率的・効果的な勉強を実現するために、まずは塾講師がアウトプットの大切さを理解することが大切です。
この記事では、子供の勉強・学習に対して、いかにアウトプットを活かすかについての解説をします。
勉強・学習にアウトプットは不可欠
子供たちの勉強・学習に、アウトプットは不可欠なプロセスです。
アウトプットとは、文字通り蓄積した知識を活かして、何かに出力するための作業をいいます。
人の脳は、インプットだけでは知識の定着に限界があると言われ、アウトプットを繰り返してはじめて自分の知識として消化できるものなのです。
しかし現在の教育システムでは、どちらかといえばインプット偏重。
つまりアウトプットする機会よりも、インプットに重きを置かれていますが、これでは学力の向上に効率的だとは言えません。
インプットとアウトプットの違いは?子供たちをやる気させるために
「インプット」とは、知識を入力する作業です。書籍を読んだり、授業を受けて話を聞くといったことを指します。
一方で「アウトプット」は、蓄えた知識を組み合わせたりして出力する作業です。
学習した知識を活用して応用問題を解いたり、ディベートなどで自分の意見を発表することが該当します。
例えば授業の中で、『「わかった」と「できる」は違う』と生徒に語るのは、まさにこの差です。
「ああ、なるほどわかった」と思っても、生徒が実際にテストになって自分の力で解けないのは、アウトプットする力が低いからでしょう。
インプット中心だと、「わかったつもり」で止まってしまい、「自己満足だけで終わってしまう」のです。
講師自身もアウトプットを強化していく必要があるといえるのではないでしょうか。
そして子供たちのやる気を継続させるためにも、アウトプットの機会を増やして腹落ちするおもろしろさ、楽しさを理解してもらう必要があります。
仕事・ビジネスにもアウトプットは必要不可欠
ビジネスパーソンを対象にしたアンケート結果では、インプットにかける時間が7割で、アウトプットにかける時間が3割ほどです。
アウトプットに4割を費やす層は全体の1割ほどで、実に9割ほどのビジネスパーソンがインプット中心で仕事をしていることになります。
アウトプットの効果の一つは知識を定着させることです。脳の海馬では、2~4週間に渡って情報を保存します。
この期間にアウトプットにより、何度も情報を引き出すことで、脳は重要な情報だと判断し、側頭葉に長期記憶として刻まれることになるのです。
知識を定着させるためには「2週間に3回はアウトプット」する必要があります。
生徒に対しても、同じ単元を「塾で習って演習する」、「塾の宿題をする」、「学校で習って演習する」という流れが必要。
短期間で3回のアウトップするように、講師が指導していくのが効果的です。
また同様に、講師もアウトプットしてこそ血となり肉となりえます。
>>やり抜く力・グリッドはどう鍛える?塾教育と自己制御的要素の関係性
アウトプットで『伝える力』を増幅させてモチベーションを持続させる
ただ知識を定着させ引き出すだけでは、アウトプットとしては不充分です。
大切なことは「知識を使って創造する力」、「自分の意見を伝える力」になってくるからです。
インプット中心のビジネスパーソンは、「会議で自分の主張を述べるのが苦手」、「自分で創造して行うプレゼンが苦手」という話をよく耳にします。
ビジネスの世界では、「ただ伝えればいい」という考えでは、同じ職場においても「ミスコミュニケーション」が発生しますし、プレゼンをしても伝えたいことが伝わりません。
ただ生徒に知識を伝えればいいという意識で授業を淡々と行う講師もいれば、伝えるだけでなく「伝わる授業をする」という意識の講師もいます。
アウトプットを重視できる講師です。
ではどうすればこのような力を育成していくことができるのでしょうか?
伝わる授業をする講師は、わかりやすさが工夫されていたり、生徒の興味をひくような例え話や生徒に響く言葉を上手く利用しています。
講師は授業を通じて、「どうすれば相手に伝わるのか」といったアウトプットのコツを実践し、生徒に伝えていくことができるのです。
そして自分の持っている知識を伝えることがうまくでき始めると、子供たちのモチベーションも自然と継続するようになります。
講師が意識すべきアウトプットのポイント・方法
相手に伝わるアウトプットというのは、話の内容だけで決まるものではありません。
「何を話すのか」と同じくらい「どう話すのか」が重要になってきます。
非言語的コミュニケーションの重要性は、「メラビアンの法則」が有名です。
自分の認知と矛盾したメッセージを聞いたときに、人は何の影響を受けて信用するのかというものですが、「視覚情報」が55%と最も高く、次いで「聴覚情報」で38%、「言語情報」は7%という結果になっています。
これには諸説あるものの、「相手に伝わるように話すためには、非言語的コミュニケーションがとても重要である」というのは確かです。
無表情でぼそぼそ話をするよりも、「笑顔で堂々」と話した方が相手に伝わります。
こういったアウトプットのコツも、講師自体が実践し、その重要性を生徒に伝えていく必要があるのではないでしょうか。
アウトプットの習慣を定着させるアイコンタクト
話をしている最中に相手の目を見る「アイコンタクト」の有効性も多くの大学で研究され、その結果が発表されています。
ベルギーのルーヴァンカトリック大学の研究によると、話を聞いている人は、話をしている人のアイコンタクトを受け、「ドーパミン」が分泌されます。
ドーパミンは幸福物質です。楽しい、嬉しいという感情を高め、さらに記憶を増強するのにも役立ちます。
もちろん、多くの講師がアイコンタクトを交えながら、授業を行っていることでしょう。相手の目を見て話しをした方が、伝わりやすいからです。
しかし、100人を超える生徒数ではアイコンタクトにも限界があります。初めから諦めている講師もいるかもしれません。
これはイギリスの心理学者であるアーガイル氏が研究の結果から、「アイコンタクトは1秒間でも効果がある」と発表しています。
伝えたい話をする場合、重要な点だけでもしっかりアイコンタクトをする習慣をつけていくことが大切です。
>>人間力を高めるために学習塾で貢献できることは?現場で育てる人間力
アウトプットの苦手を克服するために
アウトプットのポイントは、その重要性などの話を聞いているだけでは、なかなか力がつかないということです。
「アウトプットを鍛える」、または「アウトプットに慣れる」ためには、アウトプットを繰り返すしかありません。
実際に行動しない限り、いつまで経ってもアウトプットできるようにならないのです。
「苦手だからアウトプットできない」と感じる人もいるとは思いますが、逆説的にはアウトプットを無理やりにでも続けて、慣れる以外の方法はありません。
はじめは誰でもアウトプットがうまくいかない
はじめは誰でもアウトプットはうまくいきません。
だから大丈夫です。
もしアウトプットができるようになれば、すばらしい未来が待っています。
たとえば次のような実験で、実際にその効果が示されてる点は注目に値すると言ってよいでしょう。
コロンビア大学の心理学者であるゲイツ氏の実験によると、9分間でどのくらいの人物のプロフィールを覚えられるか試みたところ、年長の生徒はインプットの時間に3割費やしたグループの成績が最高でした。
つまりアウトプットに7割の時間を費やしたことになります。
このように知識の定着には、インプット3割、アウトプット7割が理想とされています。
「アウトプット中心に切り替えていくことで、人の自己成長の速度は加速していく」のです。
それは大人になっても同じことになります。
国際社会に通用する人材を育成していくという視点においても、子供の頃からアウトプットの重要性を知っておくべきです。
またそれを伝えられる学習塾こそが、今後より存在感を増していくことになっていくでしょう。
子供の学習とアウトプットまとめ
講師は、授業を通じて「アウトプットの重要性」や「アウトプットのコツ」を体現できます。講師がそこにどこまでこだわっていけるのかが、今後問われていきます。
生徒の人間力を高めるための【生きた教材】がまさに自分自身なのです。
生徒たちのアウトプットの力をより伸ばせるように、問題演習に取り組ませる以外にも意識し、工夫していくことが大事になってくるのです。
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