塾の運営方針は、企業の未来を左右します。
設立時に掲げた理念の下、決定した運営方針に従って経営を行うことが成功への唯一の道です。
しかし、運営方針は経営者だけが理解すればいいというわけではありません。
社員はもちろん、スタッフ、生徒、保護者が理解、納得していなければなりません。
方針への理解があって、初めて満足度向上、および結果につながるのです。
そこで今回は、塾の運営方針を関係者に伝える必要性についてご紹介します。
運営方針の役割や効果、伝達の方法論についてお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてください。
塾の運営方針はナビゲーションの役割を持つ
塾の運営方針は、その名の通り、企業の方向性を示しています。
そのため、生徒や保護者、従業員をナビゲーションする役割があるのです。
運営方針の理解度を上げるために、
- 生徒・保護者との共通認識
- 従業員との共通認識
- 運営方針決定において何を選択するか
がとても重要になります。
相手にとってわかりやすい言葉で、共感が得られる内容にするのも大切なので、運営方針決定には妥協せず、こだわりを持ちましょう。
塾と生徒・保護者間との共通意識
顧客との共通意識は非常に重要です。
入塾時に塾の運営方針を明確に伝え、共感させなければなりません。
運営方針への共感は、塾への期待感の役割を果たします。
塾の運営方針に対して、生徒、保護者が「この塾なら任せられる」と感じる必要があるのです。
また、日々の対応も基本的には方針にとって行われます。
そのため、共通意識が薄い場合、思わぬクレームが起きかねません。
「こうだと思ってなかった」
「こう言っていたのに」
などの感情が起きやすくなるのです。
また、成績を向上させて子供を伸ばすためには、塾・生徒・保護者の3者間での共通意識が不可欠。
塾の方針を軸に、3者の中で共通認識を増やし、子供にとっても保護者にとってもプラスになる環境を作りましょう。
塾と従業員との共通意識
従業員との共通意識もとても大切です。
現場の講師が塾の運営方針を理解しているかどうかは、結果に直結します。
エリアマネージャーや教室長などのポジションにつくには、運営方針の理解度の高さが不可欠です。
理解度が高いからこそ、適切な判断の下で行動が行えます。
従業員も同様で、教室長からの指示待ち状態では最善の指導ができるとは言えません。
自ら考え、方針にのっとった行動ができる従業員こそ、現場に必要な人材です。
もちろん、上側がリードする場面も必要ですが、常に見ていられるわけではありません。
従業員の基本に忠実な動きは、子供にとっても企業にとってもプラスに働きます。
そしてその積み重ねが、優秀な人材を生み、各教室、企業の支えとなるのです。
このように企業として強い基盤を作るためにも、塾と従業員との共通意識はとても大切といえるでしょう。
デジタル化・AI化の時代に何を選択して生き残るか?
学習塾のデジタル化、AI化は2020年のコロナ禍においてさらに加速したと言えるでしょう。
オンライン授業を中心に、あらゆるシステム管理化が今後も進むと予想されます。
このような時代背景の中、発展を遂げた産業は多いです。
しかし、学習塾が他業界と決定的に違うのは、必ず「人」が必要な点。
AI化により様々なメリットが生まれますが、子供の相手のビジネスですから、最後には必ず「いい先生」が求められます。
そのような中で塾として何を選択するかが、この厳しい状況を生き抜いていくポイントです。
- 面倒見のよさ
- アットホーム感
- 規律
など、選択できる項目は多くあります。
もちろん、塾の生命線は学力向上、成績アップです。
しかし、その目的を達成するための手段に何を選ぶかは、生き残るためには必要になります。
人間関係が希薄化しやすいデジタル時代だからこそ、自塾のカラーを存分に出せる運営方針を作りましょう。
塾の運営方針が一貫性のある講義を生み出す
理念や運営方針は塾の顔とも言っていいでしょう。
その塾が何に価値を持って教育を行っているのかを示す指針になるからです。
そしてその運営方針により、一貫性のある講義が生まれます。
一貫した行動形態は、顧客にとってわかりやすいです。
そのため、目的達成へ突き進むために大きなメリットとなります。
逆にブレてしまうと、顧客にとってわかりにくくなり、不満や不安が生まれ、成果に結びつきにくくなるものです。
運営方針がもたらす効果には、
- 関係者全員が共有し成果を高める
- 他塾との差別化につながる
の2つがあります。
もちろん他に多くの影響がありますが、大きなものとしてはこの2つがポイントです。
関係者全員が方針を共有できれば成果は高まる
関係者全員の方針の共有はとても大切です。
それぞれが理解しているからこそ、成果は生まれるもの。
組織と同じようなイメージで、全員が同じ方向を向くと、大きな力が生まれます。
生徒は目的や基準が明確になるため、行動がしやすいです。
そのような行動を見るとともに、保護者は方針の理解により過度な不満や不安を持ちにくくなります。
さらに従業員はその方針に乗っ取った指導を行うため、一貫した指導が可能です。
同じことをやり続けるためには、大きな労力が必要ですが、それを方針がカバーしてくれます。
粘り強く一貫性のある指導を続けると、子供の伸び率も大きくなり、成果は高まるでしょう。
そして、成果が自信となり、生徒はもっともっと伸びるようになります。
生徒、保護者、従業員が方針により動きやすい体制が作られるため、運営方針の共有はとても重要なのです。
塾の理念が他塾との差別化につながる
他塾との差別化は、生き残るために必須です。
その差別化は、理念から生まれるといっても過言ではありません。
日々起こる事象に対し、理念に基づく行動で差別化は図れます。
例えば、生徒から「部活で疲れたから休みたい」と連絡があったとしましょう。
このとき、塾としてどのような対応をとるかは、理念によって決まります。
- 来るように促す
- 授業の遅れた分をどのように取り戻すか生徒に答えさせる
- 保護者からの連絡でないと欠席させない
厳しさをウリにしているなら、上記のような対応を行います。
- 振替日、対応日を伝える
- 遅れた分を自習等で対応する
- 保護者からの連絡でなくとも欠席を認める
厳しく指導しない場合なら、以上のような対応を取るべきでしょう。
どちらも対応としては間違っていませんし、メリットもあればデメリットもあります。
これが理念から生まれる対応なのです。
デメリットを打ち消すほどのメリットがあれば、十分な差別化が図れるでしょう。
理念や方針は、塾としてのあらゆる対応の基盤となるのです。
塾の運営方針を伝える方法とは
どの業界でも同じですが、学習塾においても運営方針はとても大切。
そしてさらに大事なのは、理念や運営方針の伝播です。
どんなに素晴らしい方針でも、伝わらなければ意味がありません。
顧客であれば、方針への共感が必要になります。
従業員であれば、伝わるだけでなく、彼らの行動に繋げなければなりません。
そこで、伝えるときのポイントは、以下の3つです。
- ウェブサイトで広く外部に伝える
- 生徒・保護者には入塾時以外でも定期的に
- 従業員には朝礼で繰り返し
他にも、塾長自らが外部セミナーを行ったり、広告を打ち出したりと伝える方法はありますが、大切になるのは前述の3つになります。
①ウェブサイト(ホームページ)で広く伝える
理念、方針の伝播で重要なのは、誰でもいつでも見られる環境を整えること。
そこでウェブサイト、ホームページの充実が必要です。
ただ言葉を書くだけでは伝わりません。
理念や方針が伝わりやすいような写真、生徒や保護者の評判などを掲載しましょう。
人は文字から情報を得ますが、写真や雰囲気からも情報を得ます。
より伝わりやすいものをチョイスしましょう。
また、コンテンツも重要です。
- しっかり管理している
- 面倒をよく見てくれる
以上のように、塾内システムの一部を掲載し、理念に基づいた指導が行われていると印象付けましょう。
ウェブサイトは生徒や保護者が見るだけではありません。
新卒、中途含めた新入社員、求職者、現社員の全員が見られます。
自塾の教えをあらゆる対象に伝えられるウェブサイトの充実は、理念、方針の伝播にもってこいのアイテムです。
②生徒・保護者へ入塾時だけでなく定期的に伝える
生徒や保護者への自塾の姿勢は、入塾時だけに伝えてよしではありません。
生徒に対しては授業中や質問対応時、トラブル時の対応などあらゆる場面で伝えるチャンスがあります。
保護者に対しては、電話やメール・面談などで伝えるようにしましょう。
このように言葉で直接伝えられる機会は限られています。
ポイントは、以下の2つです。
- 言葉できちんと伝える
- 行動、事実から理念や方針をリンクさせる
言葉で伝え続けるだけでは、相手も辟易してしまいます。
実際の行動で、理念に基づいて行動していると感じさせましょう。
生徒への対応やテスト結果、日々の塾の様子を話すなど、ホームページに記載されている言葉以外でも理念や方針は伝わるもの。
一度伝えてよしではなく、何度も何度も伝える努力をしましょう。
それが、生徒や保護者の理解を促進する理由になります。
③従業員に朝礼などで繰り返し伝える(1回伝えるだけではだめ。同じことを表現を変えて何回も伝える)
理念、方針を一番理解しなければならない従業員。
彼らに対しては、朝礼や研修、指導の場で繰り返し伝えましょう。
生徒や保護者と同様、一度だけ伝えても完璧には伝わりません。
もちろん、相手が従業員だからこそ、日々のミスの報告などを受けて、「この前言ったじゃないか」「何回言えばわかるんだ」と感じる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、伝わっている=行動できるではありません。
伝わっていても、分かっていても行動できないことは往々にしてあるのです。
そこで伝える側は、伝わるまで伝え続ける必要があります。
その際、同じ言葉で伝えるだけではいけません。
生徒や保護者と同じで、辟易しますからね。
同じ内容でも、言葉を変え、違う表現で伝えるのです。
難しい場合は事象を例として挙げて伝えるようにしましょう。
理念や方針にリンクする出来事は、日々の教室の中にごろごろ落ちています。
成功例、失敗例などの事例とともに伝えると、従業員側も新鮮な気持ちで話を聞けるはずです。
そして表現を変えて伝え続けると、従業員も生徒や保護者に表現を変えて伝えられるようになります。そのためにも、日々の朝礼や指導の場を大切にしましょう。
塾の運営方針まとめ
塾の理念、運営方針は自塾の経営を支える地盤となります。
口コミが命の塾業界だからこそ、ブレない姿勢が人々の心を打つのです。
方針に乗っ取った行動は一貫性を生み、一貫性のある行動は顧客の信頼に繋がります。
そして、方針に乗っ取った行動がどの教室でも行われるよう、伝える方法も考えなければなりません。
人は忘れやすい生き物なので、一度だけでは完璧に伝わらないでしょう。
しかし、そこで諦めず、何度も何度も、表現を変えたり、例を出したりしながら伝わるまで伝え続けてください。
上側のそういった姿勢が、いつの日か従業員に届きます。
そして、従業員の行動を促し、現場の生徒や保護者にも伝わっていくのですから。
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