差別化が要!個人の小さな塾の開業に必要な3つのポイントとは?

学習塾での指導

少子化が叫ばれている今、親が子供に投資する金額が増加傾向にあると言われています。

生徒の絶対数は減少傾向にあるとはいえ、こうしたビジネスチャンスから塾を開業しようと考えている人も多いのではないでしょうか。

しかし無計画に開業しても、目論見が外れてしまえば「こんなはずではなかった…」となりかねないため、あらかじめポイントを理解しておくことが大切です。

この記事では、個人塾の開業で成功のきっかけとなる、3つのポイントを解説します。

塾の開業は誰にでもチャンスがある!

塾を開業するのに特別な資格はいりません。

個人事業主登録をすればだれでも開業でき、無資格でよいだけでなく、学歴も問われず教員免許も必要ないのです。

敷居がとても低いですよね。それに工夫さえできれば、初期投資もほとんどかかりません。

また、仕入れが教材以外存在しないので、在庫を抱える必要がない点も大きな魅力です。

しかも、多くは次月の授業料を前月に先払いしてもらう現金商売です。次月の売上も高確度で予測でき、キャッシュフローの心配も少なくて済みます。

季節や天候に左右されず、余程のことがない限り月単位での解約もありませんから、1年間を通じて売り上げも安定します。

塾の授業は、夕方から夜ですから、日中の時間は比較的自由である点も魅力と言えそうです。

そのため兼業として、塾ビジネスを始めることも可能ですね。

資格も必要なく初期投資も低いため、塾の開業を魅力的に感じている方は多いのです。

初めはだれでも小さな塾の個人経営!競合との差別化がキモ

開業したからといって、すぐに生徒が集まるわけではありません。

そのため、開業前にどんな塾にしたいのか、ビジョンを決めておく必要があるでしょう。

塾の形態には次のようなものがあります。

進学塾(学校より先にカリキュラムを進めていく予習型)
補習塾(学校の進度に合わせてわからないところを学習する復習型)
集団指導塾
個別指導塾
自立学習塾(生徒が自分で計画を立て、自分で勉強できるようになることを目指す)
オンライン塾(WEB会議システムや、メタバース内で受講する塾)
ハイブリッド型(集団と個別、通塾とオンライン等、良いところを組み合わせる型)

それぞれどの形態を選ぶのかにより、事業計画や収益構造が変わります。

また、上記形態を選びながらも、何を大事にする塾なのかというコンセプトも必要です。

志望校合格第一とする塾なのか、人間力育成を大切にする塾なのか等、何を大事にするかによって、塾の特徴が変わってきます。

当然、大手塾と同じスタイルでは、勝てる見込みはありません。

むしろ大手塾ができないところで差別化を考えてください。

大手塾は資本力がありますので、教室展開数や広告宣伝費等がケタ違いです。

一方、本部の方針に沿ってどの教室も運営しないといけませんので、本部の方針と違う、教室独自の運営をすることができません。

カリキュラムも本部で決まりますので、地域の学校の進度に合わせて自由に教室の授業を変えたり、本部の意向を無視して他社の教材やシステムを導入することもできません。

従って、開業を予定している地域に大手を含めどんな塾があるのか、どのような属性の世帯が多いのか、どんな塾が求められているのかといった、事前のマーケティング調査が重要です。

もし新しく塾を作るならば、大手塾のない郊外の方が魅力を感じるかもしれません。

ですが大手塾が手を出していないのであれば、塾ビジネスが成り立ちにくい地域とも考えられます。

逆に大手塾が多いエリアは、塾の要望が高い地域ですから、そのエリアでの開業を考える方が、収益性は高まるかもしれません。大手塾から転塾したい層も取り込めます。

また駅近の方が人は多いですが家賃が高く、住宅街であれば、家賃を低く抑えられます。

場所の選定もどのような塾にするかで判断が変わり、一長一短なのでじっくり考えるべきです。

地域に合わせて個別指導と集団授業のどちらがいいのかも検討してください。

>>塾での個別指導のやり方・方法!どうすれば生徒に理解してもらえる?

個人塾開業のポイント① 料金と質の高い授業を目指す

個人塾開業のためには、料金と質を高めて高級路線を狙うのがポイントです。

初めてビジネスを始める方が陥りやすいのが、大手と同じポジショニングをしてしまうこと。

低料金設定かつ中途半端な授業内容となってしまい、結果的に競争力を失ってしまうのです。

こうした壁に直面しないためにも、大手とはポジショニングを変えて差別化してください。

 

個人塾と大手塾のポジショニングは異なる

大手塾と個人塾は、歴史や資金力、そして人材の数もまったく違います。

そのため個人塾が、大手塾の真似をしてもうまくはいかないのです。

大手塾には築き上げてきたものがあり、大きな知名度やブランド力を持っています。

実績のない個人塾に、同じ授業内容で同じ月謝を払うのであれば、有名な大手塾へ流れるのは避けられません。

しかし個人塾にも食い込める余地はあります。

なぜなら、大手塾に対して否定的な印象を持っている生徒や保護者がいるためです。

たとえば講師が頻繁に変わったり、質問しづらい雰囲気のある教室、無料講習会に惹かれて入塾したのに、入塾したらどんどんオプションを取らされて月謝が増えていった等、大手塾とは言え、保護者の不満がないわけではありません。

不満はまだまだあるでしょう。そこで大手とは異なる立ち位置で差別化して戦えるのが、大手塾への不満の解消を打ち出した個人塾です。

前述したように、大手塾の教室は本部の意向に従わないわけにはいきませんから、ある程度画一的になりがちです。

また、教室で地域に合った戦略を閃いても、本部で了承されなければ実行できません。

大手塾に立ち向かうには、個人塾には地域の実情に合った、臨機応変さと生徒・保護者対応の個別化、丁寧さが重要です

大手塾にはできないサービスがあるのが大きな強みとなります

小回りのきく、個人塾だからできる戦い方もあるので、大手塾とは違う路線を考えましょう。

授業の質を高めて高単価でも満足させる指導を

周囲の塾との差別化のために、授業料をどこよりも安くしたい誘惑に駆られるかもしれませんが、これは絶対にやめた方がいいです。

繰り返しになりますが、資本の大きい大手塾には、同じ手法では太刀打ちできないのです。

大手塾では生徒数が多く、資本力もあるためランニングコストを安価に設定できます。

コストで勝負を仕掛けては、企業としての体力がないのであれば、事業として成り立ちません。

むしろ付加価値を追求して授業料を高く設定し、高級路線を目指したが方がずっと勝ち目があります。

授業料が高くても通いたいと思わせる指導を目指しましょう。

塾開業の良さの一つに、在庫を持たなくて良いことを説明しましたが、在庫が持てないことが個人塾の弱点になります。

塾の授業が増えれば増えるほど売上も増えます。しかし、授業は先生と生徒が同じ時間を共有し、そのサービスをその場で消費しないといけません。授業という在庫が持てないのです。

授業をする先生が一人であれば、当然一日に消化できる授業数に限りが出てきますので、多くの売上を見込めなくなります。

そのような弱点を補うには、やはり「少人数高単価」を目指す必要があります。個人塾は抱えられる生徒数に限度があります。

そのため、生徒が少なくても収益が上がる塾でなければならず、かなわないのであれば塾経営そのものが続かなくなるからです。

人数が少なければ、それだけ「生徒一人一人に目を配ることができる」と発想を変えてください。

少人数をキーワードに授業の質を上げ、個別指導に力を入れましょう。

個別指導形態でも、先生と生徒の比率が1対3より1対2、1対2より1対1の方が高単価になります。

「生徒一人ひとりに目を配る」ことができるのは、個別指導では断然1対1の指導形態です。

講師の数に限りがありますから、多くの生徒を抱える大手塾の個別指導では、1対3とか1対4になりがちです。一人の生徒に指導が終わると演習問題をやらせ、演習問題をやらせている間に他の生徒に指導する形になります。

つまり、演習問題に取り組み、躓いている過程やノートのとり方の癖等、一人を細かく見ていくことが難しくなります。当然、保護者に送る授業報告書の内容も大まかになります。

個人塾で1対1の指導をし、問題の解答過程までよく観察し、密度の高い授業報告書を保護者に送るような、きめ細かい指導ができればその分単価を高く設定できます。

講師採用が厳しいエリアであれば、AI教材を導入した個別指導もおすすめです。

実現できれば、月謝が高くても生徒と保護者を満足させられる、すばらしい塾になるはずです。

>>塾の経営は難しい?これから開業を目指す人が知っておきたいこと

個人塾開業のポイント② 固定費を上げない

塾に限らず、起業家に必ず求められるのが「固定費を上げないこと」です。

採算分岐点が低ければ低いほど、はやく利益を出すことができます。

幸い塾経営においては、少資本かつ固定費を抑えた開業ができます。

はじめての起業となると、見栄を張ってしまいがちですが、ここはぐっと堪えて、最小限の固定費での開業を目指してください。

固定費を抑えることは、少資本の塾が戦うための原則です。

小規模な塾経営は固定費を抑えて身軽でいることが大切

ランニングコストを最小限に抑えることは、小規模塾の経営にはとても重要です。

教室は広ければ広いほど、家賃や光熱費がかかります。

入塾する生徒が最初から見込めればいいのですが、そうでない限り最初から広い場所は必要ありません。

狭いところからスタートして、資金面の余裕や生徒数が増えてたときに引越しを検討してはいかがでしょうか。

また毎月請求される月額サービスの契約はやめましょう。

たとえば、コピー機です。多くの塾ではコピー機をリース契約して毎月費用を支払いますが、個人塾でそこまで必要でしょうか。

家電量販店で売っている数万円のもので十分代替できるはずです。そもそも教材があれば、コピーそのものが要らないのです。保護者郵送物はデジタル化することでコピーが要らなくなります。

必要な設備は、リースではなく安く購入して使い回し、固定費を抑えるべきです。

そして毎月のランニングコストを抑えて、利益を最大化する努力をしましょう。

固定費を上げなくても質の高い授業は実現できる

小さな塾では固定費を抑えるため、はじめのうちは人を雇わず塾長が講師も務めます。

しかし、塾長にも教科の得意不得意はあるはずなので、最初は教科や対象学年を絞るべきです。

なぜなら不得意な教科を教えた場合、十分に指導できずに不満を持たれてしまう恐れがあります。

これでは、授業の質が低いと言われても仕方がありません。

選択と集中を行い、まずはできることに力を注ぎましょう。

ある程度の余裕ができれば講師を雇い、対応できる教科や学年も増やしていくことができます。

そして、生徒一人一人とのコミュニケーションを大切にしてください。

その対応が口コミで広がり、塾の存在を地域に広めてくれます。最初から多くはできません。

目の前にいる生徒たちに、どのように教えるといいのか、どうしたら彼らの成績を上げられるのかに取り組んでください。

>>生産性アップ!塾管理・経営システムでできることとは?

個人塾開業のポイント③ 無駄を削って生産性を上げる

個人塾を成功させるためには、限られたリソースで最大限の収益を生む必要があります。

そのためには無駄をとことん削って生産性を高めることが大切。

時間や授業内容、コストに至るまで、すべてにおいて無駄を削り、可能な限り生産性を高めてください。

授業と経営の両方で無駄をなくす

塾の業務は多岐に渡りますが、小さな塾ではほとんどを塾長1人で業務をこなす必要があります。

細かい仕事はいくらでもあるので、ふつうに仕事をしていては時間が足りません。

そうならないように、塾の業務として最低限のボリュームとし、やらない仕事を決める必要もあるでしょう。

また、IT化を進めてなるべく手作業をなくすアイデアも大切です。

エクセルがよく使われるのですが、学習塾は学年で動く業界です。問合せ者のリスト等は常に最新学年に更新しなければいけません。生徒の名前で管理していきますので、ファイルが増えれば増えるほど、生徒の名前を何度も入力する無駄が生じます。

特に、授業料の請求・入金管理はシステムで自動化すべきポイントです。一つの情報を入力すれば、システムがその情報を自動的に他の情報とつなげてくれる仕組みが必要です。

業務そのものを楽にできるのであれば、1人でも対応できる仕事が増えます。

現在は、塾に特化したシステムもたくさん出ています。

もちろんコストがかかるため、検討は慎重にすべきですが、業務改善を行うにはとても便利です。

自分でやった方が安く済むからといって、何でも手作業でやってしまいがちですが、一人しかいない塾長が手作業で時間と労力を取られれば取られる程、スタッフ数の多い大手塾とのサービス格差が広がってしまいます。

時間もコストである点を意識して、生産性の高い仕事や利益を生み出すために必要な業務のみにエネルギーを使いましょう。

>>塾の事務作業をシステム化して生産性向上!効率化と労働環境を実現

個人塾の開業のポイント まとめ

塾開業は、資格もいらないし資金も他の業種に比べると少額でスタートできます。

今回は3つのポイントについて説明しました。

3つのポイントを守り、効率的かつ質の高い塾経営を目標にしましょう。

そして効率の高い塾経営には、マンパワーだけではなくITの力も最大限に活用すべきです。

塾長一人で何の業務に特化すれば、近隣の大手塾に対抗できるのか、差別化できるのかを常に考え、それを軸に「やらないことを決める」ことを心掛けましょう。

無駄な仕事を無くし、生産性の高い仕事に集中できれば、利益を上げられる塾にできるでしょう。

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