学校では生徒一人に1台PCやタブレットが配布されました。
学校側で規制していても、家庭に持ち帰ってインターネットやゲームをやり過ぎるのではと保護者は不安を感じているようです。
ゲームで学力は低下しない
慶應義塾大学の田中辰雄教授は、15~69歳の約1万4千人を対象にゲームと学力の関係について調査しました。
中学時代の一日のゲーム時間別に、偏差値60以上の高校に進学した割合を調べました。
当初、ゲーム時間が増えるほど難関校への進学率が下がると予想していましたが、ゲームを全くしなかった人より、ゲームをした人の方が難関校への進学率が高かったというものでした。
さすがに一日3時間以上になると進学率は下がりましたが、1時間以内であればゲームをした人の方が、難関校進学率が高かったのです。
興味深いのは、一日のゲーム時間を家族と決めたルールがあった人は進学実績が上がらず、自分でルールを決めたという人の方が進学率が高かったことです。
イカの自制心
2021年3月、ケンブリッジ大学のアレクサンドラ・シュネル博士を中心とした研究では、コウイカに自制心があることが発表されました。
コウイカの前に、エビのかけらともっとおいしそうな生きたエビを提示し、エビのかけらをすぐに食べるのを我慢できれば、おいしそうな生きたエビが与えられる実験をしました。
すると、イカはエビのかけらが提示されても我慢し、生きたエビが出てくるのを待つことができたそうです。
面白いことに、イカの世界でも、50秒しか我慢できないイカもいれば、2分以上我慢できるイカもいたのです。
目の前の誘惑に屈しないことが、将来的にはよりよい結果につながるという理解がイカにも必要で、知性の指標となる学習能力が高いコウイカほど、自制心も強いことが分かったそうです。
自制心は筋肉に似ている
「スタンフォードの自分を変える教室」(ケリー・マクゴニガル著)では、カナダの学生たちが勉強を先延ばしにする様子を分析した研究が紹介されています。
その研究では、最初の試験で直前まで勉強しなかったことで自分を責めた学生たちは、自分を許した学生たちに比べて、その後の試験でもやはり勉強を先延ばしにする傾向がありました。
自分は何をやってもダメだと思うと自分のことを嫌いになり、その苦しみを和らげるために憂さ晴らしをするようになります。
一方、「こういうこともあるよ」と自分を許すと、罪悪感や自己批判に悩まされず、失敗した原因を考えるのが楽になり、同じ失敗を繰り返さないようになります。
自制心を強化したければ、自分を励まし、自分にやさしくすることが重要だと説いています。
また、「自制心は筋肉に似ている」という研究も紹介されています。
甘いお菓子を我慢し続けるとか、気が散るものに注意を向けないとか、自制心を発揮し続けると、時間の経過とともに注意力が散漫になります。
筋肉を休めなければ体力を使い果たすのと同じように、自制心も使い続けると効果が薄れることがわかっています。
ゲームを自制する時間が長くなればなるほど、筋肉のように疲れ、やがて自制が利かなくなります。
でも自分で決めたルールであれば自分を許すこともできます。
ついゲームをし、反省して勉強し、それを繰り返すことで自制心という筋肉が鍛えられます。ゲームは自制心を鍛える道具なのです。
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