時代はデジタル化を迎え、これまでのアナログ式から、システム導入によるIT化を図ろうとお考えの経営者の方も、多いのではないでしょうか。
働き方改革に加え、新型コロナの影響もあり、リモートへの移行も進む中、塾もIT化へと進んでいく時代です。
そこで今回は、塾システム導入による税金対策についてご紹介します。
買い切り、リース、月額制で導入する際の財務処理や利用のポイント、資産計上の違いについてご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
塾システムの買い切り・リースの場合
塾システムを買い切り・リースで導入する場合のポイントについてご紹介します。
ポイントとしては、
- 買い切り(購入)の場合は減価償却で処理
- リースの場合はリース料で処理
- どちらも途中で利用中止できない
の3つです。
後述の月額制と比較してメリットの大きいものを選ぶようにしましょう。
買い切りの場合は通常の減価償却で処理
塾システムを買い切りした場合、全額が購入した年度の経費とはなりません。
使用できる年数に応じて資産計上を行う「減価償却」として処理されます。
減価償却費は、毎年固定の金額で償却されるわけではありません。
一般的に定率法が用いられ、初年度に多めに減価償却費が計上され、2年目以降は徐々に償却額が減っていきます。
購入期に多くの利益が計上されると予想できる場合は、買い切りによる減価償却費計上をすると、法人税を少なくできる点がメリットです。
ただし、処理時には減価償却資産として計上しなければなりません。
そのため、経理担当者の処理業務が複雑になるため、事前に打ち合わせをしておく必要があります。
償却が終わっても使い続けられるため、長くシステムを運用するほどにメリットが大きくなると言えるでしょう。
リースの場合はリース料で処理
リースは、法人税法において定められた適正リース期間中に、取得原価と諸費用の全額を支払う方法です。
2008年にリース会計基準が変更となり、リースで購入をしても会社の資産として処理しなければならなくなりました。
リース資産という項目が追加されたことで、純資産が増加するため、利益やROAが少なくなる仕組みです。
これにより、税金対策が行えるようになっています。
買い切りの場合は減価償却でしたが、リースの場合は経費扱いです。
毎月の支払額は支払い完了まで同額なので、2年目以降も均等して収益の一部をシステムのリース代に充てることができるので、税金対策にもつながります。
ただし、リース会社が導入時に代わりに購入するため、所有権はリース会社です。
そのため、契約期間後には返却、もしくは再リース契約を結んで延長しなければなりません。
買い切りとリースは途中で利用を中止できない
買い切りの場合、途中で利用を中止してしまうと、そのまま負債として計上されてしまいます。
また、リースの場合では、原則として利用中止はできません。
リース期間中の支払いは継続されてしまうのです。どうしても解約をする場合は、解約不能部分の未経過リース料を支払わなければなりません。
そのため、買い切りやリースの場合、
- 利用してみて自社に合わなかった
- 他にいいサービスが見つかった
- 思っていたよりも使い勝手が悪かった
など、利用して満足がいかなくとも、継続して使い続けるか、お金を捨てる決断をしなくてはならないのです。
特に、現代では次々と新しいシステム、サービスが生み出されていきます。
携帯電話サービスが始まったのが1987年で、今やスマートフォンまで発展する時代です。
想像以上のスピードで、IT業界は進化を遂げています。
そのため、現行の最先端のシステムが5年後には劣化しているケースも多いです。
買い切りやリースを行う場合は、慎重に判断しなければなりません。
塾システムをASPなど月額制で利用する場合
買い切りやリースとは異なる購入方法として、ASPなどの月額制で利用する方法があります。
現在では、イニシャルとランニングで分けてある場合が多いです。
月額制で利用する場合のポイントは、
- 経費として全額処理できる
- 途中解約も可能
の2つがあります。
新しいサービスが次々と出てくる現代において、月額制でのシステム利用のメリットは大きいです。
経費として全額処理
月額制で契約を結んだ場合は、システム料は全額経費として処理できます。
初期投資も含めて経費として計上ができるため、経理処理も非常に楽です。
初期投資を除いて、毎月一定額の支払いで済むため、収支のバランスもとりやすい方法と言えるでしょう。
また、契約期間も法的な拘束を受けないため、ある程度は融通が効きます。
長期利用による割引などが受けられる場合もあるため、大きなメリットとなるでしょう。
月額制のサービスを利用する場合は、料金体系もしっかりと把握するようにしましょう。
金銭面の都合による途中解約も可能
サービスを使う中で、
- 収益状況が悪化した
- 別のサービスに変更したい
- 金銭上の都合で一時サービスを中止したい
などの途中解約が月額制の場合は可能です。
買い切りやリースと異なり、途中解約できるのは大きなメリットと言えます。
現代は、新型コロナや各地で起こる地震や台風等の自然災害など、いつ、何が起こるかわからない時代です。
不測の事態に直面したときに、臨機応変に対応できるのは、事業継続計画(BCP)の観点からも企業の強みになります。
また、前述のように生徒数に応じて料金が追加される仕組みのサービスも多いです。
そのため、生徒数によっては他サービスの方が安くて効率がいいとなるケースもあります。
そのような場合にも、スピーディーに対応ができるため、月額制はこれからの時代にマッチしているのです。
資産計上による違い
買い切り、リース、月額制の3つとも、税金対策という観点からいうとあまり大きな違いはありません。
それぞれにメリットがあるため、自社の状況に応じて決定するとよいでしょう。
ただし、財務諸表上で総資産利益率(ROA)の見え方に差が出ます
資産計上による違いのポイントは、
- 買い切り、リースはオンバランス
- 月額制はオフバランス
の2つです。
専門的な部分になるため、ポイントを絞ってお伝えしていきます。
買い切り・リースはオンバランス
買い切りは購入金額が資産として計上され、使用期間に応じて減価償却されます。
リースの場合は、会計基準の変更により、リース資産、リース負債として計上されていくのです。
そのため、貸借対照表上に資産・負債としてしっかりと記載されてしまいます。
これにより、総資産額の増大、ROAの減少になるのです。
資産を多く所有するのは、対外的な評価が得られやすいものの、負債のリスクも伴う場合があります。
資産を所有するためには、手元にある程度の資金を置いておく必要があるため、小規模な企業ほど対応がしづらいでしょう。
また、ROAは企業の収益性を表す係数なので、対外的な評価が下がってしまう恐れがあるのです。
そのため、オフバランスで処理をしたい場合は、やはり月額制を採用しなければなりません。
ASPなどの月額制はオフバランス
月額制は全額経費処理が可能になるため、オフバランスでの処理が可能です。
少額でも必要があれば導入ができ、資産維持管理の負担軽減にも繋がります。
また、オンバランスと比較しても資産として計上されるものを少なくでき、シンプルな貸借対照表となります。
そのため、ぱっと見で状況が理解しやすいシートになり、ROAも買い切りやリースと比べてよくなるため、対外的な映りが良くなるのです。
経理処理の手間も省け、対外的な評価は上がりますが、注意点が1つあります。
それは、オフバランスは粉飾決算などの不正行為に悪用されるケースがあるのです。
経営の実態がよくも悪くも隠されてしまうため、対外的な評価にのみ利用するのは避けた方がいいでしょう。
まとめ
塾システムの導入には、
- 買い切り
- リース
- 月額制
の3つがあります。
税金対策に関しては三者三様、大きな差はありませんが、ポイントとして違う部分は多いです。
買い切りとリースは途中解約ができず、オンバランスで計上されます。
月額制は途中解約ができ、オフバランスでの計上です。
どれもメリット、デメリットがありますが、時代の流れを考えると、今後は月額制の需要が高まると言えるでしょう。
しかし、月額制には、
- 初期導入費
- 生徒数(ID数)によってコストが変わる
ものもあるため、事前にきちんと把握しておかなければなりません。
塾のIT化は、これまでの長く古い慣習を一新する大きな改革期です。
この流れに乗り遅れないようにするとともに、システム導入による失敗を防ぐためにも、ぜひ、様々な情報を集め、自社にとってプラスとなるシステム導入を行いましょう。

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