「ゆとり世代」や「さとり世代」と揶揄されるように、時代共に子供たちも変化しています。
塾の指導もそれに合わせて変化しつつありますが、特に指導において、厳しさの与え方はこれまで以上に難しくなっており、経営者と教育者の二つの立場を持つ塾長はその狭間で運営方針についての葛藤を感じているとお聞きします。
そこで、営業マンとして塾を回る筆者が見聞きした中で、正反対の二つのタイプの塾について、事例を交えてご紹介します。
生徒に忖度する塾
ケース①学習指導に特化するかを迷っている塾
長く塾をされている先生からこんなお話をいただきました。
『今の子供は昔と違って打たれ弱い。だから、厳しくしないほうが良いのではないか?』
話を聞くと、昔は外見でハッキリと分かる不良を親が塾に手を引っ張ってでも連れてきて、
「こんな息子ですが何とか勉強ができるようにしてください!」と頼み込んでくることがあったそうです。
しかし今は外見で分かる不良がずいぶんと減って、一見まじめそうに見えても実は裏で悪さをしている生徒や、一見やんちゃに見えてもすこし強めに注意したら、心がポキリと折れて次から塾に来なくなる生徒もいて、指導の強弱が難しくなったといいます。
うっかり強めに指導した日にはあることない事を親に言われて、それを信じ切った親から猛クレームをつけられた・・・なんてこともあるそうです。
もし、地域で「あそこの塾は先生が怖くて…」などという噂が立とうものなら、話に尾ひれがついて、一斉退塾の発生や次年度募集に影響する・・なんて恐ろしい話を聞くと、ビジネス的にはリスク回避のために学習指導以外は行わず、当たり障りのない範囲での指導になりつつあるそうです。
ケース②生徒の嫌がることをしない塾
先のお話を聞いていると他塾でも似たようなエピソードがあったことを思い出しました。
そこの塾は自宅で運営している個人塾で、宿題を出さない事をウリにしていました。
そこで、筆者は成績の伸びはどうですか?と訊ねると案の定、成績は伸び悩む生徒が多く、
中3になると親が受験を心配して転塾させるケースが出てくるといいます。
であれば、なぜこの状況で宿題を出さないのか?と疑問をぶつけると、学校からの宿題が多く、部活も盛んな地域なので塾から宿題を出すと生徒に嫌がられて入塾してくれなかったり、辞められてしまったりするかもしれないからだそうです。
筆者は指導者の立場になったことが無いので、決して偉そうなことは言えませんが、子を持つ親の目線でどちらの事例にも共通していることは、先生には目の前の生徒をだけが映っていて、親の存在が見えていないのではないか?ということです。
わが子を塾に預ける親の気持ちからすると、「わが子の事を教えて欲しい」、「親の要望を聞いてほしい」、「状況を知らせて欲しい」など塾に対して様々な思いを持っています。
必要とあれば、厳しさをもって指導を行って欲しいと期待しています。
しかし、塾側が通ってくる生徒にばかり目を向けていると、目の前の生徒の反応だけが塾への満足度を測る物差しとなってしまい、安易に生徒の顔色をうかがった指導を行う、まるで「生徒に忖度する塾」になってしまうのかもしれません。
そうなってしまえば、一時的には生徒受けの良い塾にはなりますが、中々成果が出ず、親の想いとは正反対の結果になってしまう恐れがあります。
生徒の壁になれる塾
ここまでにご紹介した塾と正反対に位置するのが「生徒の壁になれる塾」です。
その表現がぴったりな関西を拠点とする塾の事例をご紹介します。
そこは指導が厳しく、学習を進めるスピードは速く、山のような演習を科し、子供がめげてしまうほど多くの宿題を出すなど、打たれ弱い子供が多くなったといわれる今の時代には、一見すると敬遠されそうな塾です。
しかし、いざふたを開けてみれば厳しい環境でもちゃんと生徒が定着していて、40年以上続く塾です。
そのような厳しい指導でも生徒を定着させて頑張らせるための特徴的な取り組みの一つに、生徒を褒めることに主眼を置いた「激励電話」があります。
生徒は、塾での厳しい指導にめげそうになっているときに、この電話がけでちょっとしたことでも褒めてもらう事でモチベーションが上がり、もうひと踏ん張りすることができるそうです。
また、電話の対象は基本的には生徒ですが、家の電話に掛ける為、まずは保護者が電話を取ることが多いそうです。
保護者に繋がれば儲けもので、日ごろのちょっとした事や今、生徒が塾で頑張っていることを自然に伝えてあげられる良い機会になります。
これが積み重なることで万が一、子供が塾を辞めたがるようなことがあっても、塾を信頼している保護者が子供をフォローしてくれる効果も期待できます。
このように親×生徒×塾の3者が一つになれる運営体制を築くことが出来れば、今の時代でも必要な指導をし続けられるという事です。
これからの子供たちが生きる社会はAIや外国人労働者などがライバルになり、今まで以上の厳しさに晒される事が多くなります。
その社会に出る為の準備期間である学生時代に必要な厳しさを与えられないのは長い目で見れば子供たちにとって、かわいそうなことだと思います。
子供に立派に育って欲しいと願う親の気持ちはいつの時代も変わらないということは、子供たちをしっかり鍛えるという塾の役割も変わらないという事ではないでしょうか。
ただ、方法が時代と共に変化することはあるので、そこを自塾に合わせた形でどうするか?
という問題だと思います。
その方法にお悩みでしたら、ぜひ弊社営業担当にご相談ください。
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