近年では、アクティブラーニングが大きく注目を集めています。
よく耳にする「アクティブラーニング」について、聞いたことはあっても「内容はよく知らない」という方は多いのではないでしょうか。
この記事では、これから間違いなく求められるアクティブラーニングについて、学校での事例について解説をします。
アクティブラーニングとは
そもそもアクティブラーニングとは、いったいどのようなものなのでしょうか。
メリットや実践している学校の事例の前に、定義の確認からしておきましょう。
アクティブラーニングとは、ひとことで言うなら「能動的な学習」です。
ただ詰め込むだけの学習から、一歩進んだより高次の学習だと考えてもよいのではないでしょうか。
アクティブラーニングと大学入試システムの変更
2020年1月のセンター試験を最後に、現状の大学入試は大きく変更されることとなりました。
2021年から実施される大学入学共通テストからは、「思考力」、「判断力」、「表現力」に重点が置かれるようになるため、これまでの「知識詰め込み式の学習」では対応が難しくなることが予想されます。
もちろんこれまで同様に基礎学力は必要不可欠です。
国語、数学では記述式の問題が出題されることとなります。
英語は読む、書く、聞くに加えて話すという4技能が必要です。
インプットしてきた知識をいかに利用して、時間内にアウトプットして表現できるのかを問われるということ。
また大学別の個別選抜では、「主体性」、「多様性」、「協調性」を問うような形式になることが予想されるため、自分の意見を発表し、周囲のメンバーと協力し合って問題を解決していくような力も要求されます。
大学入試システムの変更に伴い、2014年中央教育審議委員会の学校指導要領改定で登場し、注目を集めるようになったのが「アクティブラーニング」です。
アクティブラーニングの役割
大学入試システムがなぜ変更されるのでしょうか?
それはこれまでと同じ教育手法では、グローバル化が進む国際社会の中で活躍する力を養うのが難しい、と多くの有識者が考えたからです。
これからの時代では、知識があるだけでは通用しません。
知識を使って新しい価値を生み出し、新しい問題を解決していく力が求められます。
こうした新しい学力像を具現化したのが新大学入試システムで、その力を養う主要な手法がアクティブラーニングなのです。
アクティブラーニングというと、グループに分かれてのディスカッション、実地調査をしてグループで情報をまとめて発表するといった活動的なイメージがありますが、本来の意味は「能動的な学習」です。
知識を詰め込むだけの受動的な学習ではなく、関心を持って学び、さらに頭を動かし、自ら積極的に興味を掘り下げていくのがアクティブラーニングです。
指導要領に登場して注目を集めるようになった言葉ですが、以前からアクティブラーニングという言葉は用いなくても、能動的な学習を意識して授業を構築している教師や学校はありました。
それが国際社会で活躍する人材の育成法であることを見抜いていたからでしょう。
そういった学校では教育方針に大きな変化はなく、アクティブラーニングという言葉も特別使用していません。
>>塾での個別指導のやり方・方法!どうすれば生徒に理解してもらえる?
アクティブラーニングの学校での実践例
近年では先ほど解説した経緯から、小中学校でも盛んにアクティブラーニングが取り入れられるようになりました。
まだまだ実践している学校は少数ですが、今後は少しずつ増えてくるものと予想されます。
なぜなら過去の教育のままでは、海外との競争だけではなく、国内での競争でも勝ち残れなくなるからです。
アクティブラーニング事例①かえつ有明中学校
東京都江東区にある中高一貫校の「かえつ有明中学校」の事例では、時代のニーズに適応した教育システムを様々採り入れている点に注目。
こちらでは、アクティブラーニングを三つに分けた方法が採用されています。
ひとつは「PIL型」(ピアインストラクション型講義)で、教師が生徒たちに一方的に教える授業ではなく、双方向型になっています。
特徴は生徒が自ら予習して、それを互いに教え合う機会が設けられている点。
もうひとつは「PBL型」(プロジェクトベースドラーニング)で、生徒たちはグループに分かれて話し合い、協力して問題を解決します。
そして最後に「TOK型」(セオリーオブナレッジ)で、知識の本質を考え、知識の体系を深めるためにひとつのテーマについて議論し合う学習方法です。
アクティブラーニング事例②聖学院中学校
東京都北区にある中高一貫校、「聖学院中学校」では、どのようにアクティブラーニングが実践されているのでしょうか。
こちらで力を入れているのは「PBL型」です。
北アルプスの蝶ヶ岳登山を行った後には、本館5階のフューチャーセンターで、振り返りとしてプレゼンテーションを実施したり、将来に向けて生徒が能動的に学習できるようにタイへ研修旅行などが取り組まれています。
実際に生徒はこのような経験を通じて、医学部やユニセフ職員を目指してモチベーション高く勉強するようになったそうです。
アクティブラーニング事例③三田国際学園中学校
東京都世田谷区にある中高一貫校、「三田国際学園中学校」でも相互通行型授業を意識した授業が特徴。
教師は生徒の思考力を高めていくために「トリガークエスチョン」を工夫しながら、一方通行にならないようにしています。
また積極的にICTを採り入れている点にも注目です。
プログラミング言語を使ったゲームをグループごとに開発したり、映画のプロモーションプログラムのプレゼンテ―ションを行うなどの「PBL型」の情報授業を行っています。
まとめ
学習塾であっても、夏休みや冬休みなどの長期休みの時期を利用して合宿などで、アクティブラーニングを取り入れられる可能性があります。
より興味を掘り下げる機会を設けたり、他の地区の生徒と交わって協力して、問題を解決するなどの企画は実現できるのではないでしょうか。
「PBL型」によって生徒を刺激し、より能動的な学習を進めていくことはできるのです。
ですがそこまで大掛かりなイベントを行わなくても、普段の塾授業でアクティブラーニングを実践できます。
特に「PIL型」については、アクティブラーニングという言葉が流行する前から、同様の指導を心がけている塾講師はたくさんいるはずです。
集団指導であっても導入部分に工夫したり、効果的な発問を準備することによって、生徒の関心をひき、生徒が自ら頭を動かし、考えを述べる機会は作ることができるでしょう。
アクティブラーニングを実践できる講師の授業は「わかりやすい」、「面白い」と人気があり、評判を呼んでいるのではないでしょうか。
一方的に聞いているだけの授業は、今も昔も生徒には退屈なものです。
生徒がより興味を持つように準備し、生徒を巻き込む授業ができているのならば、アクティブラーニングが実践できているといえるのではないでしょうか。
2021年から実施される、新しい大学入試システムにも対応できる指導をしているだけではなく、国際社会で自立できる人材の育成に貢献しているとも言えます。
「学習塾では学校のようなアクティブラーニングが実践できない」ということはありません。
むしろまだ取り入れていない学校の方が多いのですから、学習塾が率先して取り入れる姿勢が大切なのではないでしょうか。
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