AIは教師に取って代わるのか。学習塾の未来に教師は存在するのか。(3)教師の存在価値とは

コラム

学習塾でAIが出来ること(近未来)

AIの技術が進歩していけば、どのようなAI先生が実現していくのでしょう。少し想像してみましょう。

1.スマートスピーカー先生

2017年、スマートスピーカーがgoogleやamazonなど各社から相次いで発売されています。iPhoneのSiri同じような機能で、話しかけると会話の内容を理解し、質問に答えてくれたり、架電を操作してくれたりするスピーカーです。例えば自動掃除ロボットと連携して、「リビングを掃除して」と言うと掃除を始めてくれるという仕組みです。
この技術はすぐに教務に応用できそうです。「DNAの仕組みについて教えて」というと映像付きで解説してくれる。
さらには生徒の学習状況を後ろから見守りながら、進んでないと判断すると詰まっている箇所を見つけて先生の方からアドバイスをくれます。

2.英語会話を教える先生

今後の英語学習には、読む・書く・話す・聞くという4技能が必要になります。学習塾の指導で苦心するだろうことがネイティブスタッフの確保です。聞く・話すという技能は実際に体験することで大きく伸びる技能ですが、特に地方都市で英語を話せるスタッフを常駐させることは非常に困難です。
ここでAIが登場します。AIのもっとも進化している機能のうちの一つは翻訳機能ですから、今後数年間で自然な会話が出来るAIは必ず登場し、一般化していきます。そうすると安価で英会話の実技を行うことが出来るようになります。
余談ですが、AIが完全な会話を実現すると通訳という職業は今後需要が減ります。エリートの職業でも安泰ではありません。

3.勉強プログラム提案先生

勉強が苦手な生徒には「そもそも勉強の仕方がわからない」という生徒がたくさんいます。何時から何時まで机の前にいるべきなのか。まずはどの参考書の何ページ目を読むべきなのか。読んだら次に何をするべきなのか。何点取ったら次の単元に進んで良いのか。何から手を付ければ良いのかわからないから勉強が出来ないということがあります。
AIで何万人もの学習状況を解析し、生徒の成績や環境から1週間のスケジュールを自動で提案することは現実的にありえそうです。実行状況に応じて適宜見直しを行うこともでき、合格までのプログラムを作ってくれます。

AIができないこと

AIが得意なことは、分析する・計算する・記憶する・認識するという分野です。
逆にAIが出来ないこともたくさんあり、実は人間が得意なことはほとんどが苦手です。
大袈裟に言うと無いことから有るを生み出すようなクリエイティブな想像、社会の常識的なモラルに基づく判断、人間を育てるということなどです。
もっと端的にいうと得意な事以外は全て苦手なのです。
例えば台風が来たら雨戸を締めて洗濯物を取り入れる。台風を定義できないのでできません。元気のない人を元気づけることもできません。
AIが人間に取って代わるというのは少なくとも当分の間ネガティブな幻想にすぎず、AIをどのように活用して未来を豊かにするか、共存の方法を探すべきです。

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教師の存在価値

教師の存在価値は「人間を育てる」ということにシフトしていきます。今までのように「わかりやすい授業をして」「生徒に知識の習得をさせる」ことはまさにAIの得意分野。AIの台頭で需要が減るでしょう。
一方で、本来勉強の価値はできるだけたくさんの知識をインプットすることでしょうか。それは違います。
そうであれば学歴だけが人間の価値になりますが、それが間違っていることに異論はないと思います。
学力を高める途上では、「なぜこうなるんだろう?」と自分でどんどん深めていく『探究心』と辛くとも出来るようになるまで繰り返し取り組む『忍耐力』を培います。
頑張って自分の力で勝ち取った志望校合格ということに価値があるのであって、大学の偏差値ランキングは二の次です。
また、人生の本当の戦いは大学を卒業し社会に出てから始まります。社会に出てからこそ人間は成長し続けなくてはならないのです。生き抜く力は効果的な知識の蓄積だけでは身につきません。
AIは、何が分かってないのか探し出してくれます。繰り返しが辛くないように、最短の学習プログラムを自動的に示してくれます。至れり尽くせりで簡単にテストの点が取れるようになる一方で、生徒は終始受け身で学習することになります。
それでは、社会に出てなおも成長し、苦難を乗り越えていくためのメインエンジンである『探究心』と『忍耐力』は未熟なままです。
2020年の入試制度改革で求められる資質は「総合的な人間力」です。問題発見力・思考力・表現力などの生きる力が問われています。AIで知識の習得時間は短縮されるでしょう。
AIは便利なツールですから、知識を得るために積極的に活用すべきです。
そのようにAIを活用して効果的に知識を得られれば、他のことに費やす時間を確保することができます。
できた時間を存分に活用し、世界を自分自身で体験したり、地域とのコミュニケーションを行うなど、多くの経験をすることです。
その経験が生き抜く力を高めさせてくれるでしょう。
このような生徒の生き方をサポートすることが、これからの教育者の役割として重要になってくるのではないでしょうか。AIと教育者の共存。子どもたちには明るい未来が待っています。

 

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