塾の人材採用・育成・人事評価制度はどうすべき?

学習塾の求人・採用

学習塾で大きな問題の1つでもある人材。

子供相手だからこそ、他業種以上に「人」が大切になるのが塾です。

しかし、現代の学習塾はいい人材が集まらず、なかなか定着もしません。

そこで今回は、塾の人材採用、育成、人事評価制度についてご紹介します。

いい環境はいい人材を獲得し、優秀な人材を育成するもの。

そしてその結果、企業に大きな利を生み出すのです。

人材集めや人事評価のポイント、組織づくりに必要な体制など、詳しくお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

学習塾にとって人材は最も重要な要素

「いい人材はいい人を育てるもの」と古くから言われています。

感受性の高い子供相手の職業だからこそ、学習塾にとって人材は最も重要です。

講師の優しさが子供のピンチを救い、講師の熱さが子供のやる気を引き起こします。

そして嫌われることを恐れずに生徒に正面から向き合い、子供が心を開く。

今も昔も「先生」は子供をいい方向にも悪い方向にも導く存在です。

学習塾にとって人材が最も重要な要素なのは、

  1. 講師の実力で評判は変わる
  2. どんな教材やシステムを導入しても最後は「人」

の2点が理由として挙げられます。

いい人材は、いい人を育てるだけでなく、人を集めるのです。

すなわち、塾にとって必要不可欠な存在と言えます。

講師の実力次第で評判は変わる!

どの業界にも言えますが、地域に名が知れ渡る場合、新規出店により、評判を勝ち取るケースが多いでしょう。

しかし、塾は少し違います。

担当者が変わると、評判が一気に変わるケースが非常に多いのです。

これは塾ならではの現象と言えるでしょう。

前任の教室長の悪評は、後任の教室長の実力次第で好評へと変わるのです。

つまり、学習塾は「人」の力で評判を勝ち取れる職業と言えます。

講師の実力次第で評判を勝ち取れるのは、固有名詞で評判が立つからでしょう。

  • 新しく来た〇〇先生がすごくいい
  • 〇〇先生の授業はわかりやすくて面白い
  • 〇〇先生は頼りになる

そこに、塾の名前はないのです。

あくまで講師の名がそのまま評価に繋がり、塾の顔となります。

地域性との兼ね合いにもなりますが、たった一人で状況を打破できる可能性があるのが、塾の面白い点の1つでしょう。

どんな映像教材やシステム教材を導入しても結局は「人」

コロナの影響もあり、多くの塾でオンライン授業や映像授業、システム教材の導入が進んでいます。

塾業界も時代とともに大きく変化をしてきました。

集団塾から個別指導、そしてオンライン授業。

予習形式から復習対応、学習管理がメインなど様々な形態が存在しています。

現在では、他業種からの参入など、まさに多種多様な塾が共生する時代です。

この激化する塾業界の中で生き抜くために必要なのは、今も昔もやはり「人」でしょう。

どんなに素晴らしい教材やシステムを使っても、指導する「人」が悪ければ生徒は伸びません。

子供が伸びるためには、解法以外に必要なものがあるのです。

それは、人からパワーをもらうこと。

  • 先生の言葉や友達の姿からやる気をもらう
  • うまくいかないとき、支えてもらう
  • ほめてもらえて、うれしい

このように、感情の変化が行動に繋がるのです。

人の心を根底から動かすのは人の力。

今後どれだけIT化が進んで、便利なものが生まれようとも、塾で「人」が不要になる時代は訪れないでしょう。

学習塾が人材を集めるために必要なこと

前述の通り、塾にとって人材は宝です。

いい人材が優秀な講師となり、多くの生徒を学力向上に導きます。

しかし、問題は、そのいい人材をいかに集めるかです。

誰にでもできる職業ではないからこそ、人材確保は塾の至上命題と言えるでしょう。

塾にとっていい人材を集めるポイントは、

  1. 人材に見合う十分な待遇
  2. 活躍できる講義の仕組み化
  3. 育成はアルバイト時代から
  4. 実力のある経験者を採用する

の4つです。

人材に見合う十分な待遇を設ける

いい人材の確保には、十分な待遇が必要です。

納得できる待遇を設けることで、よりモチベーションを維持させられます。

待遇のポイントは、

  • 給与
  • 休日
  • 役職(責任)
  • 評価制度

の4つです。

これらが高い水準で準備できるのは、小規模~中規模の学習塾の方が有利でしょう。

大手の塾では、未だ年功序列が根強く残っているケースもあるからです。

そして、これらの4つに匹敵するのは、意見を通すこと。これも待遇の1種です。

いい人材は豊かな感受性を持ち合わせています。

彼らの企画、立案は現場から感じ取って生まれた、生徒思いなものが多いでしょう。

例え少し考えが及ばなくとも、頭ごなしに否定するのではなく、改善点を伝え、ブラッシュアップするのが大切です。

人材が活躍できる講義の仕組み化を行う

塾講師のステージはやはり講義です。

人材ごとに得意分野が異なりますが、より力を発揮できる舞台を整えましょう。

講師にもいろんな種類の人間がいますが、生徒にもいろいろなタイプがあります。

個別指導であれば、講師が相性のいい生徒の授業を受け持てば、自ずと効果も得られるでしょう。

また、担当学年もポイントになります。

いくらいい人材とは言え、最初から熱の入った指導はやりづらいもの。

例えば、小学生や中1など、比較的低い年齢層の授業を担当させましょう。

経験を積ませたい場合は、受験生などもアリですが、初めは少なめがいいです。

特に現代の子供は、本意でなくとも反抗的な態度や否定的なコミュニケーションを取る子が増えています。

新卒社員は授業だけ行って、ベテラン講師がその後、生徒をフォローするなどの体制も必要です。

せっかくのいい人材が潰れてしまわないためにも、講義の仕組みには十分な配慮をしましょう。

アルバイト時代から人材を育てる

塾でアルバイトを行う講師の多くは、

  • 子供が好き
  • 教えるのが好き
  • 先生を目指している

のいずれかに該当するケースが多いです。

子供に対して情熱を持つことがいい講師になりえる条件の1つなので、アルバイトと言えど戦力と言えます。

そこで、アルバイト時代からの育成が効果的なのです。

日々の授業の中で、

  • よかった点を褒める
  • 改善点をアドバイス的に伝える
  • 人格を認知する
  • 受け取り方をほめる

など、さりげなく行いましょう。

これらを繰り返していくうちに、塾の授業に魅力を感じ、この塾で働きたいと思うケースも多いです。

学校の先生を志望していなくても、心変わりはよくあります。

また、アルバイトであれば、自塾の教え方や授業のスタイルなども常に触れているため、1から教える内容を減らすことが可能です。

つまり、新入社員で即戦力になり、教室で活躍できます。

基本的な内容を飛ばして、スキルアップを図ることもできるため、早い段階で更なる育成ステップへ進める点もメリットです。

実力のある経験者を探す

塾講師は入れ替わりの激しい職業です。

講師の仕事は楽しいけれど、

  • 体がついていかない
  • 精神的にキツい
  • 残業が多い

など、様々な理由で講師から転職する方がいます。

アルバイトではなく、塾講師で正社員だった人材はとても貴重です。

中には教室長レベルの指導力を持つ方もいらっしゃいます。

このような実力のある経験者を見つけられれば、即戦力間違いなしです。

中途採用で優秀な人材を確保するには、やはり待遇が大切になります。

以前の塾と比べて、

  • 労働環境がいい
  • 休みがある
  • 給与がいい

など、プラスの部分を押し出せれば、確保できる可能性が高まるでしょう。

同じ感性を持っていたとしても、未経験と正社員で数年経験を積んだ方とでは雲泥の差があります。

転職市場も依然と比べてニーズが高まっているため、他塾よりいい待遇を準備し、実力のある人材の確保に乗り出しましょう。

学習塾は公正な人事評価を考慮すべき

人材を社に留めるためには、人事評価は欠かせません。

従業員の満足度を上げるためにも、従業員が素直に受け入れられる人事評価制度が必要です。

しかし、塾講師の現場は各教室であるため、講師の頑張りが正当に認められない場合も多くあります。

人事評価のポイントは、

  1. 平等ではなく公正な評価をする
  2. 評価基準を明確にする
  3. 昇進の基準を明確にする

の3つです。

誰もが納得できる評価制度を具現化し、従業員のモチベーションアップに繋げましょう。

平等ではなく公正な評価をする

平等な評価とは、一律の基準を設け、査定を行う評価です。

  • 生徒アンケート
  • 生徒数
  • 退塾数

など、データを中心に行う評価のことを指します。

一見平等に見える評価システムですが、実はこのやり方は上側が楽をしているだけです。

前述のデータは、教室の運営状態によって異なります。

特に学習塾は、地域の口コミが結果に反映されるケースが多く、頑張りが地域に浸透するのには早くても半年から1年の猶予が必要です。

こういった判断基準がない状態での評価は、公正な評価とは言えません。

  • 講師の持つスキル
  • 授業力
  • 対応力
  • 日々の校舎での動き

など、報告や経営者自らの目線で評価を行いましょう。

データに基づく評価は、生徒をテストの点数で見ているだけと同じです。

これでは子供は伸びませんし、やる気も出しませんよね?

講師も同じなので、しっかりと1人1人の従業員と向き合い、公正な評価を行いましょう。

評価基準を明確化する

評価基準は正当な評価をするために必要ですが、従業員の満足度を上げるためには基準を設けるだけではいけません。

大切なのは基準を明確化することです。

自社として、どのような基準で評価を行うかを周知させなければ、公正な評価とは言えません。

実際、評価基準は意外と曖昧です。

  • データに基づく平等評価
  • 上側の好き嫌いによる贔屓
  • 経営者の感覚

これら、漠然としたものから評価が行われているケースが多くあります。

もし、公正な評価が行われているのであれば、従業員からの不満は出ません。

  • よく見てくれている
  • 自分を理解してくれている
  • 確かに、言う通りだ

そう感じさせる評価が、本当の公正な評価です。

そのためには、経営者が評価する内容を明確化し、従業員の理解を促さなければなりません。

それが結果的に、塾の理念や方針の理解度を上げるのに繋がります。

そうなると、従業員は進むべき道がわかりやすい状態となり、どの教室でも質のいい、自塾の求める教育が行われるのです。

昇進の基準を明確にする

会社員の喜びの1つでもある昇進。

「結果を出したら昇進する」「力がついたら昇進させる」などの曖昧な基準ではなく、明確な基準を設けなければなりません。

例えば、

  • 生徒アンケート
  • 定期テストのアップ率
  • 合格実績

などが挙げられます。

もちろん、タイミングによって優秀な学年の担当になったり、そうでないクラスの担当になったりもあるでしょう。

なので、1回で決めるのではなく、半年や1年など比較的長いタームの中でとらえなければなりません。

特に、従業員の多くは結果が出ない際、生徒のせいにするケースが多いです。

口には出さなくとも、

  • もともと勉強が苦手な子たちだから
  • 言うことを聞かないから

など、生徒たちに問題を押し付けるケースは往々にあります。

そのため、生徒の質に左右されない基準の方がいいです。

例えば、前回との比較。

勉強が苦手な子たちの方が、成績は上げやすいですよね。

得意な子は高い順位である場合が多いため、点数や平均点との差で評価するなどの措置も必要でしょう。

このように、明確な基準は従業員のモチベーションアップに繋がります。

評価、昇進ともに基準を明確にしていきましょう。

仕組み化・優秀な人材の確保・評価制度を構築しよう

厳しい塾業界を生き抜いていくためには、塾経営も工夫を行わなければすぐに苦しい状態に立たされる時代になりました。

生徒数を増やすのはもちろん、従業員のモチベーションアップもとても大切です。

モチベーションをアップさせ、優秀な人材を育成するには、

  1. 教室を増やさないと役職が上がらない状態にしない
  2. データ管理により、優秀な若手が結果を出せるようにする
  3. 適切な待遇を用い、結婚してもやめない状態をつくる

の3つが必要になります。

教室を増やさないと役職が上がらない仕組みにしない(教室長だけ等)

役職の仕組みは組織づくりに非常に大切です。

学習塾の場合、比較的早い段階で得られる役職には教室長があります。

早い方だと入社1年以内に教室長に抜擢されるケースも多いです。

しかし、組織づくりがきちんとなされていないと、それ以降の昇進がない状態になってしまいます。

教室を増やせば、教室長のポストは1つできるでしょう。

しかし、教室展開も簡単にできない今の時代、教室長だけが役職では従業員のやる気も起きません。

これを防ぐためには、一企業として、全体をとらえた組織づくりが必要となります。

例えば、

  • 自塾の教科責任者を決める
  • エリアごとにエリアマネージャーのポストを準備する
  • 育成部門を立ち上げ、主任=研修担当者などの役割を与える
  • 広報部や総務など塾業務以外の部門を設ける

などです。

教室を増やさずとも抜擢の機会があり、得手不得手によって目指す役職が変えられるのは、従業員にとってプラスに働きます。

業務が多様な学習塾だからこそ、それぞれの部門にポストを設けやすいため、バランスを取りつつも、積極的に役職を設定するようにしましょう。

データ経営をしなければ、古参の社員の経験則に優秀な若手が勝てない。

塾講師は経験の差がとても大きな比重を占めています。

いくら優秀な若手とはいえ、簡単に古参の社員に勝てるほど甘い世界ではないです。

しかし、その経験の差を企業のシステムで埋められたらどうでしょうか。

若手にも活躍できる可能性が上がり、経験を積んだ社員は若手に負けないよう努力するようになります。

つまり、若手も活用できるデータ経営が理想的なのです。

過去のデータは、塾の財産でもあります。

これを有効活用せず、成功はありません。

古参の社員は、自らの経験を元に、一定のデータを持ち合わせています。

新入社員は、データ集めに躍起する毎日です。

これでは、差は埋まるどころか先に新入社員が潰れてしまいますよね。

競争は企業力を向上させるために絶対に必要です。

優秀な若手ほど、吸収力も高いため、古参の社員を圧倒するケースもあります。

才能を眠らせたままにしておくのも、時間をかけて成功に導くのも今の時代はナンセンスです。

力あるものが活躍でき、認められる体制を整えることが、この激動の時代を勝ち抜くために必要と言えます。

結婚を考える時期に適切な待遇設定がされないと優秀な社員は退職する

塾の業務は多忙を極めます。

これは、働き方改革が叫ばれる昨今でもあまり変わりありません。

もちろん、企業努力により比較的ゆとりのある会社もあるでしょう。

しかし、

  • テスト対策
  • 受験シーズン
  • 期別講習

などのタイミングは一時的でも忙しくなります。

そうなると、

  • 育児休暇が取れない
  • 有給が取れない
  • 体調不良で休めない
  • 休み返上で授業に行かなければならない

など、法で認められた労働者の権利をも行使できない状態になるのです。

これでは結婚を考えた場合、続けるのは難しくなりますよね。

ただでさえ、一般の会社員と勤務時間が違う塾講師の仕事。

子供が熱を出しても、会社を休めない状態であれば、辞めざるを得ませんよね。

待遇は給料だけではありません。

労働者の権利を、きちんと使える体制づくりが必要なのです。

プラスして、既婚者にとって有益な福利厚生などがあると、より離職率が下げられます。

結婚は人生の一大イベントです。

これを応援できる体制づくりは、従業員の人生を本当に考えている証明にもあります。

他塾では導入されていないものが多いため、自塾オリジナルの待遇制度を作り、魅力ある企業にしていきましょう。

まとめ

塾にとって人材は生命線です。

いくらシステムを整備しても、人がよくなければ成果を上げられません。

しかし、なかなかいい人材は見つからないでしょう。

そのため、いい人材を探すとともに、社内で育成する努力が必要になります。

社内で職員間の競争意識をつけさせたり、若手でも活躍できる環境を整えたり、きちんとした評価が得られたり、昇進基準が明確だったり。

こういった努力により、優秀な人材を育て、企業を強くすることもできます。

誰もが入りたいと思い、辞めたくないと思う企業づくり。

これは経営者しかできない戦いです。

自身が会社員だった頃、納得いかないことは多くあったはずでしょう。

だからこそ、今の社員に同じ思いをさせてはいけません。

社員がイキイキとし、前向きに頑張れる会社づくりを目指し、あらゆる点で環境を整えていきましょう。

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