顧客体験価値は口コミの源泉

コラム

顧客体験価値は口コミの源泉

総務省調査によると、インターネットで情報検索しているユーザーの割合は75%を超え、塾選びもインターネット上の口コミが参考にされる時代です。モノやサービスを購入してどうだったのかという体験情報が口コミとして検索されますので、生徒や保護者は塾でどのような体験をし、どんな価値を感じているかという「顧客体験価値」が注目されるようになります。

薬の売れない薬屋

佐賀県で100年薬屋を営む溝上薬局は、「薬というモノを売るのではなく、健康になるコトを売る」という考えをベースに地元に愛される経営を続けています。地域に先駆けて電子カルテを採用し、機械のサポートで事故を防ぐ調剤過誤防止システムを導入するなど、薬剤師の負担をシステムで軽減し、薬剤師の仕事を「対物から対人へ」と進化させています。それにより、薬を処方するだけでなく、処方後も患者にフォロー電話を入れ、服薬状況や体調の変化をヒアリングしながら他の薬との飲み合わせまでアドバイスを受けられる体験価値を提供しています。さらに、必要があれば主治医にレポートを提出して減薬を勧める等、薬に頼らずに患者が健康になる顧客体験に力を入れているのが特徴です。患者の家族も含めた「健康支援薬局」として、健康維持全般をサポートすることで薬局としての高い評判を獲得し続けています。

顧客体験価値の尺度

そのような顧客体験価値は、どのような尺度で測ることができるのでしょうか。コロナ禍前までは、顧客満足度調査が中心でしたが、最近は「顧客体験価値ランキング」という調査が、インターブランドジャパン社から毎年発表されています。それによると、体験価値には次の要素があるようです。①私向けのものだと思える、②私にとって意味がある、③オープンで正直である、④私の立場で考えてくれる、➄いい気分にさせてくれる、の5つです。学習塾で、①私向けのものだと思える、という価値を提供するのであれば、ホームページのブログや塾長動画で「保護者面談でこんなことに困っているお母さんに出会いました」と語ることで、「私のことを言っているみたい」と共感を誘い、塾に来て欲しい家庭をターゲット化することができます。また、④私の立場で考えてくれる、という価値を考えれば、初回保護者面談時の要望を先生全員で情報共有し、授業報告書等には保護者要望に沿って子どもの様子を報告するのも良いでしょう。➄いい気分にさせてくれる、の要素であれば、家庭への激励電話を習慣化し、共働きで疲れて帰ってきた保護者に子どもの様子を褒めて伝えることで、自分の子育ても褒められているような体験価値を提供するのも重要になります。このような体験価値の基準はあくまで主観的なものになりますので、溝上薬局のように「対物から対人へ」とサービス先を転換させる必要があります。

口コミで塾に問合せをする保護者は、最初から塾への期待値が高いですから、期待通りでは満足していただけず、その期待値を上回る対応努力が塾のブランドを築きます。口コミの源泉となるブランドについて、星野リゾートの星野社長は「ブランドは貯金のようなもので、切り崩しているといつか失われる。貯めるのには時間がかかる」と述べています。顧客体験価値を積み重ねることで塾のブランドが確立し、口コミの評判につながっていくように思われます。

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