昔ながらの集団授業から個別指導へとニーズは移り、現代はオンライン学習が注目され始めています。
ネットをフル活用した塾経営は、今後の企業の発展の鍵です。
対面にこだわるのもいいですが、使えるものは上手に使わなければ、現代の日本では生き抜いていけません。
それは、労働条件や価格競争、新規参入など、塾業界を取り巻く環境が厳しくなっているためです。
そこで今回は、オンラインを使った塾の運営についてご紹介します。
コスト面やメリット、デメリット、自塾オリジナルの運営方法についてまとめていくので、ぜひ、自塾で取り入れる姿をイメージしながらお読みください。
オンライン塾とは
オンライン塾には大きく分けて、次の2種類があります。
- 一般の塾が取り入れる場合
- オンライン専門の塾の場合
どちらかといえば、一般の塾が取り入れる場合の方が、オンライン指導を行うためのコストは高いです。
どちらもメリット、デメリットがあるため、指導方針にのっとってどちらを採用するかを決めましょう。
ここでは、それぞれの特徴についてご紹介します。
一般の塾が取り入れる場合とオンライン専門の塾が存在
一般の塾が取り入れるケースは、色々とあります。
- オンライン授業を受けさせて、個別指導で個々へ対応する
- オンライン授業一本で、教室内で講師が個々に質問対応や指導をする
- 集団授業のオンライン化
- 授業は生で行い、質問箇所や復習内容でオンラインを活用
など、幅が広いです。
一般の塾がオンラインを取り入れると、人件費を節約しながら、学習効率を上げられます。
人材に頼らない塾経営ができるため、経営者の意図を反映させやすい点も特徴です。
一方で、オンライン専門の塾は、ネットをフルに活用し、授業を提供します。
「教室」のくくりがなくなるため、県外はもちろん、国外への対応も可能です。
塾の場合、教室を設立するとその地域に絞られてしまう為、マーケットが狭くなります。
しかし、オンライン専門の塾であれば、顧客層が広がるため、うまくいけば、一般の塾よりも利益を上げられる点がメリットです。
講師を採用する必要もないため、コストを浮かせて塾経営ができます。
オンライン塾は低コストでも運営可能
オンライン指導を取り入れようとする際、やはり気になるのはコスト面の問題。
イニシャルコストとランニングコストは、経営者が一番頭を悩ませる部分ですよね。
しかし、オンライン塾は低コストでも運営が可能です。
さらに収益も見込めるツールが揃っているため、非常にオンライン化しやすい体系が整っています。
ポイントは、次の2点です。
- Zoomなど、無料で使えるツール
- YouTubeなどでオンデマンドの授業ができる
お金をかけずに事業の幅、サービスの種類を増やせられるため、ぜひ参考にしてください。
Zoomなどを使って個別・集団授業も実現可能
ZoomやSkypeなどのツールを使った学習指導は、ここ数年で大きく増えています。
特に質問対応ツールとして活用する場合が多く、
- 大学生を常駐させて質問対応する
- 講師がスタンバイして、依頼があれば対応する
というサービス形態が多いです。
消費者にとっては、聞きたいときに聞けるため、使い勝手がいいシステムですよね。
また、これらのツールを使った個別指導、集団指導も増えています。
映像授業の欠点は、講師が生徒の様子を把握できない点です。
学習効率が、生徒のモチベーションに左右されてしまう為、子どもの学習を管理する人間がついていなければいけません。
しかし、ZoomやSkypeなどを利用した授業は、場所が離れているだけで対面と同じです。
生徒の状況、様子に合わせた対応が取れるため、注目されています。
また、生の授業と同じなので、決められた時間に始められる点もメリットです。
塾の時間は、子どもにとって勉強しなければならない時間。
本来、拘束されずに取り組むのが望ましいですが、子どもはそう簡単にはできないものです。
学習習慣をつける面でも、ZoomやSkypeを使った授業は、メリットが大きいと言えます。
YouTubeなどを使えばオンデマンドの授業も実現
顧客からの要望は、要望した一顧客だけのニーズではありません。
学習塾の場合、これは特にあてはまります。
- 質問したい内容が同じ
- 子どもが苦手にする単元に偏りがある
- 多くの子が理解しづらい単元
など、子どもが「わからない」「教えてほしい」となる部分は共通しているケースが多いです。
そこで、YouTubeなどの動画投稿サイトを利用すれば、不特定多数のユーザーに授業を提供できます。
塾生以外の場合は、体験授業の位置づけにもなるため、オンライン指導による集客効果も見込めるでしょう。
さらには、YouTubeは保護者も閲覧できます。
保護者にとって、指導が見えるメリットは大きいです。
このように、オンデマンドの授業は、個だけでは終わらず、広がりを見せます。
自塾のよさを広げるコンテンツとなりえるため、導入のメリットは大きいです。
オンライン塾のメリット
オンライン塾には様々なメリットがありますが、中でも特徴的なのは、次の3つです。
- 場所を選ばない
- 授業が繰り返し視聴できる
- コロナやインフルエンザなどの感染予防ができる
どれも現代のニーズにマッチしているため、オンライン塾の注目度が高まるのも納得できます。
それでは、1つずつご紹介します。
場所を選ばずコンパクトに授業ができる
オンライン授業には、教室が必要ありません。
授業と言えば、教室、机、椅子、黒板のイメージが強いですが、これらが一切なくても授業ができるのがオンライン授業の特徴です。
自分の部屋でも、小さな個室でも授業ができるため、コスト面でも大きなメリットがあります。
自宅の一室を指導する場所と決めてしまえば、外出する必要も校舎に赴く必要もありません。
講師側のこうしたメリットは、顧客側にも同じように作用します。
- 通塾時間
- 保護者の送迎
- 他の習い事とのバッティング
など、塾に通いたくてもスケジュールが合わないケースは多いです。
オンライン授業は、こうした
- 場所
- 時間
を軸を変えて、質に差のないサービス提供が行えます。
労働者、顧客双方にメリットがあるため、画期的と言えるでしょう。
方法によっては授業を繰り返し視聴できる
よく生徒のわからない問題に対して、解説を変える講師がいます。
もちろん、このような指導は生徒にとってのメリットも大きいです。
しかし、個々のレベルに合わせた指導を行うと、
- 集団授業でついていけない
- 聞けばいいと思い、授業中に集中しなくなる
- 本質的な学力向上に繋がらない
などのデメリットがあります。
難しい解説であったとしても、講師や先生の解説は本質を捉えているもの。
それを理解できるようにするのが必要なのです。
そこで、大切なのは、同じ解説を繰り返し聞けること。
特に映像授業では、このメリットがあります。
講師も人ですから、同じ解説を何回もするのは大変ですよね。
生徒側からも、自分から聞きにいかなくても何度も同じ授業が受けられるのはメリットが大きいです。
解説を理解するための活用ができるオンライン授業は、本質的な学力アップの手助けもしてくれます。
新型コロナやインフルエンザの感染防止にも役立つ
新型コロナを受けて、学習塾でも自粛を余儀なくされました。
学習塾にとって、開校ができないのは企業の存続に直結する大問題です。
また、コロナだけでなく、インフルエンザの感染についても、教育現場は配慮しなければなりません。
このように、
- 自粛による開校不能状態を回避できる
- 接触を避け、感染を未然に防止できる
- 換気などの配慮をしなくて済む
- アルコール消毒、マスクなどの対応の必要がない
といったメリットも、オンライン授業ならではの特徴です。
教室がクラスターとなってしまっては、生徒数は激減の一途をたどります。
教え方が上手なだけでは、現代の塾業界では生き残れない時代になっています。
こうした衛生面の配慮ができる点は、保護者にとっても魅力的な部分です。
オンライン塾のデメリット
メリットがたくさんあるオンライン塾ですが、当然ながらデメリットもあります。
特に大きなデメリットは、
- 生徒との距離が開きやすい
- 対面式と比べて質問しづらい
- 家庭のネット環境によっては使いづらい
の3つです。
これらへの対処を考えなければ、オンライン塾として成立させるのは難しいでしょう。
それぞれの問題点について、1つずつご紹介します。
生徒との距離が開きやすい
オンライン授業最大の欠点は、生徒とのコミュニケーションが取りにくい点です。
塾は、子どもに勉強を教えるだけの場所ではありません。
- 学校での出来事
- 趣味や特技、好きなことや嫌いなこと
- 将来の夢
- 抱えている様々な問題(親や友達との人間関係)の相談
など、勉強以外にもコミュニケーションを取りながら、対応しなければなりません。
信頼関係構築の基本はお互いを知ることです。
その始まりが、さりげないコミュニケーションになります。
オンライン授業は一方通行になりがちです。
そのため、こうした生徒サイドからの発信をキャッチしづらくなります。
子どもの心を開くために、現場の講師は努力をしているはず。
それらがオンライン授業ではできないため、生徒との距離感を縮める方法を講じる必要があります。
対面式とくらべて質問しづらい
聞きたいところが聞ける体系が整っているとしても、生徒側からするとオンライン授業では質問がしづらいです。
それには様々な理由がありますが、実際の現場では、生徒自身が「何がわからないか」「どこでつまずいているか」を理解していないケースは非常に多いですよね。
こういった生徒の場合、講師はまず、どこまで理解しているか把握しなければなりません。
そのために、いろいろな問題を通じて、理解力を把握していきます。
講師がリードをしてくれるため、子どもにとっては漠然と「わからない」だけで質問が成立するのです。
しかし、オンライン塾では、生徒自身が「わからない」を明確にしなければ質問ができません。
特に現代では、自ら考える能力が低下傾向にあります。
オンライン塾を展開する場合、質問への対処法は、ZoomやSkypeなど、個別対応ができるツールを準備するのが必須と言えるでしょう。
家庭のネット環境に左右される
ネットがどの家庭にも広まりつつある現代ですが、ネット環境の整備はあまり進んでいません。
Wi-Fiを使用している家は予想以上に少ないです。
多くの子がスマホを持つ時代になっていますが、通信量の制限があります。
家族で分け合うケースもありますが、Wi-Fi環境下でない場合の動画閲覧は、すぐに容量に達してしまう点が問題です。
ネット環境は塾側が指示できないため、解決しづらい問題ですよね。
また、デバイスやOSなどによる通信エラーも現状ではまだまだ多いです。
オンライン塾の多くは、ネット環境が整備されている状態で最大の効果を発揮するもの。
そのため、オンライン塾で勝ち抜くためには、ネット環境が整備されていない顧客に対しての対処を考えなければなりません。
これらの配慮がなく、通い始めても授業が受けられないとなってしまってはクレーム、悪評に繋がるため、十分な準備をしておきましょう。
対面式とオンライン式を組み合わせて付加価値を
塾経営をしている場合、いきなりオンライン指導一本にするのはおすすめできません。
それよりも、現状の対面式とオンライン式を組み合わせて、オリジナルの指導形態を確立するべきです。
ネットの可能性は未知数です。
これまでも、「できない」とされてきた問題を、「できる」に変えてきました。
今、目の前にないものを、自らの知恵と工夫、発想で創り上げる。
対面式とオンラインのコラボレーションは、うまくいえば他塾を圧倒できるほど、可能性のあるシステムと言えます。
可能性は未知数!それぞれの塾で斬新な運用も実現可能
自らシステムを創り上げられなくても、今あるツールを駆使することで新しい指導法、運用を生み出せます。
学習塾にとって、優秀な講師はどれだけIT化が進んでも必要な存在です。
子どもたちの道標となり、繊細な対応ができる講師は、いつの時代でも子どもから頼りにされるもの。
これはネットではできないことでもあります。
講師が万能でないように、ネットも万能ではありません。
大切なのは、双方の苦手分野、できないことを補い合うことです。
ネットの活用は、人の「できない」を「できる」に変えてきました。
ポイントは、何を使うかではなく、どう使うかです。
その中で、よりよいコンテンツを選ぶ=自塾に合っているものをチョイスするのは絶対に必要と言えます。
ネットを活用した指導は、様々なコンテンツが生み出されているため、妥協せず、しっかりと比較をして活用するようにしましょう。
他塾が取り入れていないシステムは、それだけで勝つ理由になります。
ネットをフルに活用して、自塾だけのオリジナルコンテンツを創り上げていきましょう。
まとめ
新型コロナの流行により、学習塾でもネットを利用した指導へのニーズが高まっています。
これまでは、一講師に委ねられる傾向にありましたが、これからはネットを使っていかに効率的に指導ができるかがポイントです。
オンラインは万全ではありません。
必ず、講師の力が必要になる部分があります。
双方の欠点を補う運用ができれば、他塾を圧倒できる可能性も秘めているのがネットを活用した指導です。
まだまだ発展途上のオンライン指導。
どのツールを利用するかだけでなく、様々なアイテムを組み合わせると新しいモノを生み出せる可能性も秘めています。
ぜひ、自塾の課題と欠点を振り返り、ネットの活用で何かできないか考えてみてください。
学問に問題への解法があるように、企業で抱える課題や問題には、必ず解決策が存在します。
ネットをフル活用し、強い企業へと押し上げていきましょう。
【関連記事】
